かなり前から何度も映画館で予告を見ていました。そこから、娯楽性の高い作品なのかと想像していましたが、公開されると「どうやらそうでもないらしい」しかも「大ヒット」ということで、ちょっと面倒くさそうだぞ、と思いながら、観てきました。
そしてやはり、いい意味でも悪い意味でもその通りでした。
楽しまれた方には申し訳ないのですが、前半は面白かったんだけどな…というのが正直な感想です。
バービーランドから、人間の世界に行き、現実世界の母娘(持ち主)を連れて戻るところまでは、とても楽しく観ました。
30代のマーゴット・ロビーが17歳のバービーを演じるのもなかなか味わい深く(ライアン・ゴズリングは40代で言わずもがな)、体型維持に野暮ったいダンスシーン、よく頑張ってるなぁと感心しました。
マテル社はかなりチャレンジした商品も多く、それらが登場するのも楽しいです。私は「ウンチをする犬」が可愛くて気になりました。本当にあったようで、現在プレミア価格で21411円もします。
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前半だったと思いますが、1か所泣いたところがありました。確かに涙をぬぐった記憶があります。あったのですが、どんなシーンで何に感動したのか、思い出せない! こんなことは初めてでショックです。
多分、台詞が多くて、情報量過多だったため、記憶から抜け落ちたのだと思われますが、もったいないことをしました。
ケンは「バービーの添え物」としての悲哀たっぷりで、頑張って挽回してほしいと期待したものの、後半驚くような展開。ケンが男性優位社会に目覚めてしまうのです。
そこらへんから、ちょっとどうなのかな? と思い始めました。
バービーが仮に女の子の憧れとして、そのボーイフレンドがこんなに情けなく愚かな男性でいいのかという問題。あまりにもディスりが過ぎるのではないかと感じました。
現実世界の母娘は、何をしにバービーランドに行ったのだっけ? そして元の世界に戻ろうとしたのになぜ引き返したのか? マテル社の重役たちは、バービーランドまで追いかける必要があったのか?
持ち主がネガティブな感情を持つとバービーも…それなら人形を捨てたり壊したりしたらバービーランドではどうなるのか? マーゴット・ロビーの本体はどこかにある? 重役たちはバービーを捕まえてどうするつもりだったのか?
脳の容量オーバーで記憶が抜け落ちた部分も多々ありますが、設定が雑な部分があります。
そして、現実世界の母親が不満をまくしたてるシーンがあるのですが、ここで完全に心のシャッターが下りました。
聞きたくもない文句を聞かされて、げんなり。私はほとんど共感できない内容だったので、全女性の代弁者のように語ってもらっても困るなぁ、と残念な気持ちになりました。
多分そこが「押し付けがましい」と批判される原因なのではないかと思います。さらにはその思考をバービーひとりひとりに植え付け、男性上位の洗脳の上に、新たな洗脳を加えるところが狂気だと感じました。
最後に、バービーはケンに対して「あなたも自分の人生を生きて…」って、えーっ! !
バービーありきの存在であるケンが、ここでいきなり切り捨てられ、どうすればいいのでしょうか。元々相手にもしていないのだから、そんなの始めから言ってやってよ…と気の毒になりました。
人形が人間になってしまうし、ラストの強引な展開で、見事に刺さらない映画となってしまいました。アメリカでは大爆笑というのですから、本当に価値観って色々です。
男性と女性が対立するのではなく、もっと調和を求めていく優しい内容にはできなかったのかと感じました。
少し残念ではありますが、これも観なければ分からないことです。
こういうこともある、ということで、また次の映画の旅に出ようと思います…皆さまはぜひ楽しんでください!