映画らしい映画で、とても楽しめました。
横浜流星の魅力が存分に発揮された映画でしたね。

アイプチで一重にできるんだね
目次
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木を追う刑事の又貫征吾は、逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べる。しかし彼らが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だった。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり……。
2024年製作/120分/PG12/日本
配給:松竹
劇場公開日:2024年11月29日(『映画.com』より引用)
『流浪の月』『ヴィレッジ』を見て、もっと横浜流星の演技を見てみたいという気持ちが強くなっていたので、今作を楽しみにしていました。
そういった意味では、大満足な作品でした。
変装を重ね、人格を変え、相手により様々な表情を見せる鏑木=横浜流星の演技がとても魅力的です。
他の共演者の方々が、やや個性を抑えた演技をされているように感じました。
鏑木という人物が浮き上がってくるような効果があったと思います。
いつもは吉岡里帆さんがそれほど得意ではない私ですが、今作の抑制の効いた演技はとても好感が持てました。
報知映画賞で助演女優賞をとられたそうで、今年何作か拝見した中でもナチュラルで控えめ、一番良かったと思いました。
この映画の特徴としては、見ている間はエンタメ作品として勢いで楽しめるというところでしょうか。
ただよくよく考えると不思議に感じるところも。
知り合って間もない人たちが揃いも揃って「あの人は人を殺すような人間ではない」と信じて断言できるものなのだろうか?ということです。
鏑木が「自分はやっていない」と打ち明けたわけでもないのに、死刑判決からの脱獄囚の無実をそうそう信じられるのか!?という疑問。
本物の悪人ならば、いざとなれば善人を演じることもするはずです。特に逃走犯ならば目立たぬようにおとなしい人物を演じてこちらを騙すこともあるでしょう。
私は彼らのように肯定的に見られないし、怖いと思うのが普通ではないかと思うのです。
なぜ鏑木がやっていないと信じられるのか、納得できるように深く描いてほしかったです。
まあそれも鑑賞中はあまり気付かず、物語に引き込まれて夢中で見てしまったので、映画の説得力や勢いって不思議な効果があるものです。
被害者家族のいる施設に脱獄した加害者が勤務できるのか?
怯えていた被害者の祖母が急に正気に戻るのも?
安藤(父)の痴漢冤罪の件は意味があったのか?
ちょいちょい左利き設定が崩れていないか?
そもそも現場検証をしっかりすれば、冤罪だと分かったのでは?
後からどんどん疑問がわいてきました。
そういうのはあまり追求しないで、勢いに身を任せるのがいいタイプの映画かもしれませんね。
警察が正義を貫けないなら、この世は終わりですから、最後に鏑木の無罪が認められて、良い結末でした。
判決文の読み上げを無音にしたり等、時々もったいつけた演出があって、私の好みではありませんでしたが、ハッピーエンドですし、横浜流星のビジュアルも仕上がっていたので良しとします。
2025年度の大河ドラマが楽しみになってきました!