【U-NEXT】『ブレードランナー』(1982)映画感想文・遅すぎる初鑑賞

すっかり見たつもりになっていたのに、実は見ていなかった映画。

思っていたものとかなり違いました。

2020年はもう過去じゃないか!!

あらすじ

解説

2019年、惑星移住が可能になった未来。レプリカントと呼ばれる人造人間が謀反を起こし、地球に侵入。レプリカント専門の捜査官“ブレードランナー”のデッカードは追跡を開始する。一方、彼は製造元のタイレル社でレイチェルというレプリカントに会い、心を通わせていくが……。(『映画.com』より引用)

1982年製作/116分/アメリカ・香港合作
原題または英題:Blade Runner
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1982年7月10日

感想(ネタバレ含む)

1969年出版の小説を1982年に映画化、それを2024年に初めて見るのですから、新鮮で面白いと言えないのは仕方のないことと覚悟。教養のひとつとして遅ればせながら鑑賞しました。

正直なところ、今見ると期待していたほどの内容ではなかったです。

この作品に影響された映画やゲームや漫画…それらを先にさんざん見てしまっているためなのでしょう。

公開当時に見ていれば、この世界観に衝撃を受けたんだろうなと残念。こんな重要作品を見ないで私は何をしていたのでしょうか。

原作のP・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は、40年くらい前に読みましたが、かなり内容も受ける印象も違っていました。

小説で覚えている主人公の妻とか、電気ペットのこととか、全然出てこなくて「あれ?同じ作品?」という感じ。また、レイチェルと恋仲になり、二人で去っていくというラストも、原作とは違います。

意外だったのは、ものすごく暗いこと。ディストピアを描いているとはいえ、なんだか気が滅入るような世紀末感でした。それがまた魅力のひとつでもあるのでしょう。

巻き込まれ系主人公としてのハリソン・フォードがこれまた虚無で何を考えているのかいまひとつ分からず、共感しづらい部分があったのですが、これは狙いなのでしょうかね。

そんな中、終盤のロイの存在感はすごいものがありました。

圧倒的な破壊力、強さで、完全にハリソン・フォードのインパクトを上回っていました。

私は最終的に、ロイに勝ってほしいと思ったくらいです。

内心、主人公を最後に助けることなかったのではないか…と。

レプリカントであるロイが死期を悟り、人間らしい感情を持ったからこそ主人公を殺すパターンはどうでしょうか(今さら)。

「人間らしい感情=良心」みたいに、急に態度が変わった意味がちょっとわからなかったんですよね。

ここまでとことん暗かったのだから、そこは最後まで陰気なまま貫いてほしかったという私のわがままでした。

まぁ主人公を死なせるわけにはいきませんよね。

レプリカントの気持ちもそれなりに、いや人間以上に複雑なのかもしれない、ということにしておきます。

独特な世界観でカルト的人気の本作ですが、いかんせん見る時期が遅すぎました。

もちろん見ないよりは見た方が良かったのですが、当時見ていれば好きになっていたかもしれないな、残念だったな、という作品でした。

見逃している映画が数限りなくあると思うと、少しでも長生きして一本でも多く見たいと思うのですが、時期を逃してしまっているものはどうしようもないですね。