レスリー・チャンが見たいがために鑑賞。
30年くらい前に、この映画を熱く勧めてくる人がいたのを思い出しました。
一時間半という見やすい時間ですが、兄弟愛と友情がしっかりと描かれていて、感情移入はまあまあできました。ただ少し暑苦しい感じも…。
最初の20分ぐらいは、チョウ・ユンファが大げさで面倒くさく、観るのをやめようかとチラチラ思ってしまいました。
ティ・ロンが服役して三年後からはテンポがよく、銃撃戦や爆破シーンも迫力があり、引き込まれます。
さすがに古臭い感じはありましたが、最後など壮絶な撃ち合いとなり、違和感も半分くらい吹っ飛びます。
チョウ・ユンファが劇団ひとりに似ているというのはよく言われていますが、ティ・ロンは若い頃の長塚京三に似ているし、ジャッキーは昔のノリピーみたいだし、兄弟のお父さん役は中川家・礼二にそっくりでした。
そういった意味で少し気が散りました。
多分2023年に見ているから違和感があるわけで、1986年に見ていたらすごく面白かったと思います。
肝心のレスリー・チャンは、普通に可愛らしく、といっても30歳なのでものすごく若見えだったのだなぁと驚きます。
『さらば、わが愛 覇王別姫』が7年後の1993年ですが、この時の凄味の片鱗はあまり見られず、本当にごく普通の青年という感じ。
先日見た『リボルバー・リリー』もそうですが、白い服を着て登場すると血で染まるんだろうな…とわかってしまうので、少し興ざめなのですが、仕方ないのでしょうね。
チョウ・ユンファがマッチ棒をくわえているのはどうしてなのかと思い、調べてみましたが、単に格好つけているだけのようでした。
…というか、チョウ・ユンファがカッコいいと思われていることにすごく驚きました。
あくまでも三枚目的な役どころで、カッコいいと一瞬も思わなかったため、これがイマイチ刺さらなかった要因なのだろうかと思った次第です。
昔この映画を勧めてくれた知人はしきりにチョウ・ユンファのことを言っていたので、昔ってこういう男臭い感じの人が人気だったのかもしれません。
短めの映画ですが脇役も人物造形がしっかりしていて、恋人やタクシー会社の社長もいい味を出していました。
それぞれが復讐と正義の間で揺れ動き、悲しい結末となりましたが、悪の道に入った者の成れの果てということで、さほど同情もできず、フムフムというラスト。
犯罪者の兄を持つレスリー・チャンが気の毒で仕方なかったです。身内にこんな人がいると辛いですよね。そこが最も悲しいところでした。
いや本当にチョウ・ユンファには一ミリもハマりませんでした。うわ〜なんかこの人大げさで嫌〜と、ずっと思っていた気がします。
やはり映画は公開時に観ないとね、とあらためて気づかせてくれた一本でした。