ウディ・アレンのラブコメディ。いつものように卑屈かも…と心配な面がありましたが、ティモシー・シャラメが出ているので見ておこうと思いました。
結論から言うと「ラストだけは良かった」です。
終わりよければ全て良し、で全体がうっすら底上げされたものの、やはりウディ・アレンは自分には合わないなと感じた作品でした。
以下、気に入らなかったことばかり書くので、ウディ・アレンの作品がお好きな方は、申し訳ありませんがここまでにしておいてください。
目次
大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけは、アシュレーが学校の課題で映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。生粋のニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを考える。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう。
2019年製作/92分/PG12/アメリカ
原題:A Rainy Day in New York
配給:ロングライド
劇場公開日:2020年7月3日
いきなりですが、登場人物が皆すごく愚かで薄っぺらいところがウディ・アレン作品の嫌なところです。
そのくせ妙にプライドが高かったり、人を見下したりするセリフが多いので厄介。
ティモシー・シャラメ演じるギャツビーにしても、お金があって恋人がいて、容姿にも恵まれている設定なのに、愚かで皮肉屋で、共感できない性格です。
アシュレー(エル・ファニング)もひとつのことしか見えていないイノシシみたいな女の子で、この二人の恋模様に興味が持てるかというと微妙でした。
見始めてから「うわ、面白くない…」とイライラし始め、我慢できずに、普段は絶対にやらない早送りをしてしまいました。
それで余計に面白くないという結果になり、反省しています。きちんと見なくてはいけませんね。
口だけは達者な人たちの嫌味で悪趣味な会話が続き、このキャストなら、もっといい物語になりそうなのに、素材がもったいないというか、俳優の無駄遣いに感じました。
物語の向こうに監督の卑屈さが透けて見え、気が滅入るのです。
ギャツビーの母親が娼婦として父親と知り合ったというくだりがありましたが「だから何なんだ」という感じ。昔のことだし、大した事でもないのに…。
母親からの告白を聞いて呪縛が解け、本当の愛(かどうかも分からないもの)に目覚め、資産家の恋人から地元の元カノの妹(セレーナ・ゴメス)に乗り換えるというのも短絡的。
古臭いラブコメを無理やり現代に合わせようとして、失敗している作品だと思いました。
また、この作品はいわくつきで、ウディ・アレンの「養女への性的虐待疑惑」により、公開が遅れたのと、出演者たちが「今後彼の作品には出演しない」として、ギャラを寄付に回したことが話題になりました。
証拠不十分で不起訴となっていますが、30年も前の証拠なんてないですよね…本当かどうかは別として、嫌な話ではあります。
そんな中で、唯一良かったのは、最後にティモシー・シャラメがサラッと恋人を乗り換えたところです。
アシュレーの方もドライで、結局そんなに愛し合っていた二人でもなかったんだね、とよく分かりました。
ずっとウジウジしていた彼が、そこだけはサッパリしていて良かったです。
ウディ・アレンは割と見たまま理解しやすいので、子どもの頃は見ていましたが、大人になってから嫌なところが見えてきました。
私は苦手になってしまいましたが、まだまだお元気なので、ファンの方を楽しませていただきたいと思います。