【Netflix】『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』映画感想文・ウェス色のステキな童話

「第96回アカデミー短編実写映画賞」受賞作品。39分という短編ながら、みっちりと作り込まれたウェス・アンダーソン世界が楽しめます。

気持ちよくなって眠くなることが多いウェス・アンダーソン監督の作品ですが、39分だから寝ませんでした!

あらすじ

ヘンリー・シュガーは大金持ちで働いたことがなく、賭け事が大好きだった。

ある日彼は、ひょんなことから「目を使わずにものを見る方法」を知る。

訓練の末その力を習得し、ギャンブルに利用するヘンリーだが、気は滅入るばかりで…。

2023年製作/39分/アメリカ
原題:The Wonderful Story of Henry Sugar
配信:Netflix
配信開始日:2023年9月27日

感想(ネタバレ含む)

イギリスの児童文学作家ロアルド・ダール(「チャーリーとチョコレート工場」)著作「奇才ヘンリー・シュガーの物語」をウェス・アンダーソンが映画化。

Netflixのおすすめに上がってきたのを見て「39分なら!」とすぐに見始めたため、原作があることを知りませんでした。

そのため、ウェス・アンダーソンらしいひねりやオチがどこにあるのかと、かなり探りながらの鑑賞となってしまいました。

素直にありのままを見る心を失っていた私が悪く「あれ? このまま終わりなの?」とラストに少し物足りなさを感じてしまいました。

児童文学らしく、特別な癖のない、少し不思議ないい話です。

39分の割には内容が詰まっていて、相変わらずの早口と展開で情報量が多いです。

私くらいの年齢にななると、集中しなければついていけない可能性も。

ウェス作品は今後吹き替えで見ようかと思っているほどなので、近い将来、完全に置いていかれそうです。

実は短いので2回観たのですが、話についていくだけの1回目、細かいところまでよく見る2回目、という楽しみ方がいいかもしれません。

この短編の一番の魅力はヘンリー・シュガー役のベネディクト・カンバーバッチだろうと思います。

ノーブルな空気感と少し現実離れした雰囲気を併せ持ち、カメラ目線でこちらに語りかけてくるのがシュールです。

不思議なウェス・アンダーソンの世界観にとても合っている、というか、この世界に入るとどんな人でも彼の色になってしまうのが、毎回すごいなぁと思います。

今回は、絵本か紙芝居のようなやさしさ、あたたかみを感じました。

また、舞台転換を模した演出が多くあり、それが非常によくできていて面白く見ることができました。

ところどころクスッと笑えるところがあったり、笑っていいのかどうなのかビミョーな場面もあったり、そこはいつも通りで、とても楽しかったです。

ウェス・アンダーソンの独特な世界観にはファンも多いですが、オスカー向きかと言えばそうでもない方なので、今回の受賞は本当に良かったです。

Netflixにご加入の方は、短い作品ですので、ぜひ御覧ください。