1960年代後半から70年代初頭にかけてアメリカで推定1万2000人の中絶を手助けしたとされる団体「ジェーン」の実話をもとに描いた社会派ドラマです。
知らないことが多くて驚きの連続。とても勉強になりました。
目次
1968年、シカゴ。裕福な主婦ジョイは何不自由ない暮らしを送っていたが、2人目の子どもの妊娠時に心臓の病気が悪化してしまう。唯一の治療法は妊娠をやめることだと担当医に言われたものの、当時の法律で中絶は許されておらず、地元病院の責任者である男性全員から手術を拒否されてしまう。そんな中、ジョイは街で目にした張り紙から、違法だが安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな団体「ジェーン」にたどり着く。その後ジョイは「ジェーン」の一員となり、中絶が必要な女性たちを救うべく奔走するが……。
『映画.com』より引用
2022年製作/121分/PG12/アメリカ
原題:Call Jane
配給:プレシディオ
劇場公開日:2024年3月22日
中絶がテーマですが、重苦しくなく、明るいタッチで描かれていて、見やすいです。
ジョイ役のエリザベス・バンクスが時に軽やかでチャーミングに、時に真剣でシリアスに、と演じ分けていて、好感が持てました。
アメリカでは1973年まで、女性の中絶の権利が認められていなかったそうです。
それまでは人工中絶はもちろん、夫婦間の避妊さえも禁止されていたのです。
当然、望まない妊娠をする女性がたくさん出てきます。
この物語のジョイも健康上の理由から「自分の命か子どもの命か」の選択を迫られ、密かに闇医者で手術を受けます。
その後、ジェーンの手伝いをするうちに「自分でも手術をやってみよう」と思ったところが衝撃でした。
もちろん医師免許などなく、かぼちゃの種をかき出すように…などと練習します。
それだけ切羽詰まっている女性がたくさんいたということでしょうか。
手術のシーンは割と多く、一見生々しいものではないのですが、経験があると非常にリアルに感じます。
私も流産や死産の経験があり、処置を受けたことがあるので分かるのですが、本当にめっちゃ怖いです。
実際は麻酔が効いて痛くはないのですが、映画の中の女性たちが恐怖で震えるのは、決して大げさではありません。闇医者にかかるなら、なおさらでしょう。
怖い気持ちが分かるため、ついつい身体に力が入ってしまい、見終わる頃にはぐったりしてしまいました。
映画のラストでは、中絶の権利が認められて晴れやかな表情のジェーンたちですが、現在のアメリカでは中絶を禁止する州が復活しています。
保守である共和党の支配下にある13/50州では禁止であるため、希望者は他の州へ手術を受けに行くということ。
ジェーンたちの活動も続いているようですが、お手伝いをすることも有罪となり、50年続いた女性の権利が奪われて、昔に戻っている状況です。
今回、コール・ジェーンを見たことで、新しい知識が得られてとても良かったです。これからもアメリカのこの問題には注目していきます。
シガニー・ウィーバーが活動家のリーダーをしていたのが、とてもよく似合っていて最高でした。
あと、フィルム撮影しているのか、荒い画像が60年代らしくて、雰囲気があり良かったです。
今思い出したのですが、ジョイのルックスは奥様は魔女っぽかったです。懐かしい感じがしたのはそのせいですかね。
それではまた、次の映画で!