ほりもぐ@映画の感想文 
ヨルゴス・ランティモス監督の作品をいくつか見て、なんとなくこの監督の作風がつかめてきました。
私は『聖なる鹿殺し』が今のところ一番好きです。考察できるところが多くて楽しかったのと、俳優さんが良かったですね。
この『ロブスター』も前半は面白い設定で、興味深く拝見しました。
目次
独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。
独り身のデビッドもホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。
デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。
2015年製作／118分／R15+／アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ合作
『映画.com』より引用
原題：The Lobster
配給：ファインフィルムズ
劇場公開日：2016年3月5日
45日間のホテル滞在中に恋に落ちなければ動物に変えられるという奇妙な世界観で、前半はコメディ色が強く、後半森へ逃げてから雰囲気が変わります。
デビッドが、そこで出会った女性と恋に落ち、恋愛をどう成就させるかという物語に変わっていくのですが、それがうーん、どうなんだろう…という感じ。
前半の世界観にやっと慣れたところだったので、もう少し面白おかしく続けてほしかった気持ちもあるのです。
こう言っては身も蓋もないのですが、デビッドたちの恋愛にあまり興味が持てませんでした。
というのも、デビッドはあまり誠実で正直な人物でもなく、自分を偽ることもあるし嘘もつく、結構陰気な男として描かれていて、感情移入しにくいのです。
そのため、残り半分は惰性で最後まで見ました。
二人で逃げ出したものの、彼女はリーダーたちから恋愛の罰として失明させられており、デビッドは彼女と同じように目を傷つけて失明しようとします。
後はこちらに判断をゆだねる形で終わっていて、実際デビッドが自分の目を潰したのかどうかは描かれていません。
私はおそらく、できなかったのだろうと思います。
また、エンドロールの最後に波の音が入っています。音楽も海にまつわる曲のようです。
デビッドは逃げて捕まり、ロブスターにされたのではないでしょうか。
そうなると彼女も一人になるので動物に変えられてしまうということでしょうか。
もうちょっと分かりやすくしても良かったような気もします。
設定が奇妙で惹きつけられましたが、後半にいくにつれて私の中では失速し、ちょっと寂しい結果となりました。
「結局は自分が可愛いという身勝手さ」と「それこそが本当の人間の姿ではないか」という問いかけをこの映画に感じ、その辺は『聖なる鹿殺し』と似ていたような気がします。
コリン・ファレルはびっくりするほどお腹が出ていました。この役のために太ったのでしょうね。
情けない男をうまく演じていて、こういう役が本当に似合います。
ヨルゴス・ランティモスは『女王陛下のお気に入り』『籠の中の乙女』が残っていますが、ちょっと飽きてきたので、少し間をあけて見ようと思います。
女王陛下〜はエマ・ストーン主演で、あまり気乗りしないので、もしかすると見ないかも。
前向きに検討してみます。
それでは、また次の映画で。
