【Prime Video】『聖なる鹿殺し』(2018)映画感想文・「聖なる鹿」殺し、ですわね

これは…『哀れなるものたち』より私は好きです。

タイトルもいいし、キャストもいい。バリー・キオガンの怪演がなんともいえず、私にとっては「気分悪い度」はそんなに高くありませんでした。

(あまり面白くない)幸せ家族が狂っていく様子、とても面白かったです。

ちょっと不穏な演出が過剰な気もしましたが、ヨルゴス・ランティモス、いいじゃないの〜と素直に思いました。

私はエマ・ストーンがあまり好きじゃないのかもしれません。

哀れなる…のベラがなんか怖いというか、気持ち悪かったのです…(バリー・キオガンよりも)

↓ 残念ながら、あんまり…でした。でも精神科医の樺沢紫苑先生も低評価だったので、元気が出ました! (レベルが違うと思うけど)

↓ 気持ち悪さで言えばこちらが上のバリー・キオガン

あらすじ

郊外の豪邸で暮らす心臓外科医スティーブンは、美しい妻や可愛い子どもたちに囲まれ順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。

しかし謎の少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、子どもたちが突然歩けなくなったり目から血を流したりと、奇妙な出来事が続発する。

やがてスティーブンは、容赦ない選択を迫られ……。

『映画.com』より引用

監督

ヨルゴス・ランティモス

キャスト

コリン・ファレル(心臓外科医スティーブン)

ニコール・キッドマン(スティーブンの妻)

バリー・キオガン(マーティン)

概要

2017年製作/121分/PG12/イギリス・アイルランド合作
原題:The Killing of a Sacred Deer
配給:ファインフィルムズ
劇場公開日:2018年3月3日

感想(ネタバレ含む)

『イニシェリン島の精霊』『ソルトバーン』と見て、バリー・キオガンが気になり始めました。

独特の不穏さで、こちらを不安な気持ちにさせてくる存在。もっと見たい、と癖になってきます。

この映画でも、スパゲティ食べ食べシーンが気持ち悪くて有名ですし、ソルトバーンでは風呂の湯飲む飲むシーンが衝撃でした。

彼が登場すると必ず不穏な曲がかかり、あまりに露骨なので最初はミスリードかと思ったほど。

ストーカーか、復讐か、乗っ取るつもりなのか…。

マーティン(キオガン)が本性を現すまでは、不気味さと推理を楽しんでいましたが、一方で、この家族を破滅させるだけでは何となくつまらないな、という気もしていました。

どうするんだい? と思ったら、まさかのロシアンルーレットで主人公スティーブンが子どもを殺害。

その前に、幸せ家族が、自分だけは死にたくないとスティーブンにゴマをするのも、妙な生々しさがあり、良かったです。

ギリシャ神話を元にしていると言われるであろうことは、監督は分かっているでしょう。

そのため、ラストシーンは物語がまだ終わっていないかのような不穏な雰囲気で幕を閉じています。

みなまで言うなという感じで、この後は残った家族での殺し合いを予感させます。

いつも思うのですが、家族関係と言っても他者の集まりですから、いつ何時その関係が狂い始めるかわかりません。

「深淵に臨んで薄氷を踏むが如し」ということで、私はいつもビクビクしています(笑)

この映画は「表面上うまくいっていた家族」もあっという間に狂い始めますよ、という示唆もあり、あながち荒唐無稽な話でもない気がします。

そこが一番怖かったところでしょうか。

続いて『ロブスター』を見てみようと思います。