ジョジョラーとまでは言えないかもしれませんが「ジョジョの奇妙な冒険」は大好きです。人間讃歌は勇気の讃歌ッ! (ツェペリさん)この精神がとてもいい。
多くのキャラクターの中でも岸辺露伴はとても人気です。スピンオフ作品や小説も数多くあり、近年では高橋一生が演じる実写ドラマも年末の定番となっています。
ちなみにジョジョの映画化では2018年山﨑賢人主演の実写映画がありますが、第一章で中断。
最大の敵、吉良吉影も登場前となっており…私的には悪くはなかったと思うのですが、興行的にあまり良くなかったのでしょう。
さて今回の「岸辺露伴ルーヴルへ行く」今回はB5版大型フルカラーコミックスからの映画化。脚本は安心と信頼の小林靖子さんです。ジョジョの映像作品と言えばこの方ですね。
映画化にあたり、原作から加えられたエピソードも多く、特に編集者の泉京香はかなり多くの登場となっています。
この世で最も黒く邪悪な絵、怨念、という陰鬱な内容なので、彼女の屈託のなさ、明るさが、良い中和剤となっていました。
しかも、第三者的な役回りでありながら、ラストにかけて解釈の助けになる言動があります。
ルーブル美術館などのロケがあり、贅沢な映像が楽しめるのも魅力の作品です。
〈ここから内容にふれていきます〉
この世で最も黒く邪悪な絵とは、250年前、山村仁左衛門が神木の樹液で妻・奈々瀬を描いたものです。
奈々瀬はなぜ時を越えて17歳の露伴の前に現れたのでしょう。
そしてなぜ露伴の書いた自分の絵に激昂して切り裂いたのでしょう。
禁断の樹液の存在を仁左衛門に教えたのは奈々瀬。彼はそれに取り憑かれ、破滅の道を辿り、邪悪な絵は見た者を怨念によって攻撃します。
そのことに胸を痛め、後悔していた奈々瀬は、絵の力を封印(解放?)するため、若き日の露伴に望みを託したかったのではないかと考えられます。
ところが、露伴が自分に淡い好意を抱いていることに気づいた奈々瀬。
同じように自分を絵に描いている様子を見て、仁左衛門の姿と重なり、さまざまな思いが湧き出て、激しい行為に出たのです。
「すごくくだらなすぎて安っぽい行為ッ!」を木村文乃に言わせるところが、なかなか味わい深かったです。
ひとつ気になった点は、最後の黒い絵はまだ祖母の旅館にあり、ルーブルへ持ち出される直前だったこと。
まだここにあるにもかかわらず、ルーブルに、と奈々瀬は言います。
少々解せない感じでしたが、奈々瀬は現存する人間ではないので、絵の運命を知っていたと考えれば良いのでしょうか。
だとすれば、露伴になんとかしてもらいたいと思うのも辻褄が合う気がします。
そして、絵が持ち去られた後は奈々瀬も姿を消してしまいましたね。
彼女は塗り込められた絵そのものだったのかもしれません。
ラストに泉京香は、絵を見ても何ともなかったと告白します。
彼女は自分の過去や先祖をさかのぼっても、罪や後悔がない人なのでしょう。
泉くんなら…と思わせる何かが彼女にはありますね。
今年も年末のドラマを期待します。そろそろトニオさんとアワビの密漁で海に潜ってほしいと切実に希望しています。
ちなみに2024年2月にはジョジョ1部がミュージカルで舞台化(帝国劇場)が決まっており、そちらも大変楽しみです。絶対観に行きます!