『哀れなるものたち』映画感想文・気持ち悪いけど凄いとは思う

性描写の許容度は人それぞれ。私の場合はかなり駄目な方です。

若い頃からずっとそうなので、肯定的に受け入れられない理由が自分自身にあるのでしょう。

今回は、しばらく胃腸が悪かったせいもあり、観た後ずっと気持ち悪くて…

夜中に嘔吐しました(笑)

概要

「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。

不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。

「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。

大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

2023年製作/142分/R18+/イギリス
原題:Poor Things
配給:ディズニー
劇場公開日:2024年1月26日

『映画.com』より引用

キャスト

エマ・ストーン(ベラ)

マーク・ラファロ(ダンカン・ウェダバーン、弁護士)

ウィレム・デフォー(ゴドウィン・バクスター、天才外科医)

感想(ネタバレ含む)

エマ・ストーンは、あんなに頑張らなくてはいけなかったのだろうか?

何かもっと他にアプローチがあったのではないか?

性描写に引っ張られて、そればっかり記憶に残ってしまう。

…見終わった後も、やや疑問が残ります。

それでも「観なければ良かった」と思わないのが自分でも不思議です。

全体を通して、ベラの前向きな生きるエネルギー、成長したいという欲望が猛烈に迫ってきて、圧倒されました。

あと、ラストの着地点のおかげで、鑑賞後感が良かったためでしょう。

この物語は、有名な「フランケンシュタイン」に近いです。

フランケンシュタインの創造した「名前もつけてもらえない怪物」(このことをフランケンシュタインだと思っている人は多い)が醜いために捨てられ、恨み、復讐を誓う話ですが、それとは対照的です。

愛情を求めても得られない怪物に対して、ベラはゴドウィンからの愛情を一身に受けて育った、そこに大きな違いがありました。

「愛情が充分に与えられたかどうかが、人生を大きく左右する」というのが、私の強く感じたテーマです。

ラストは優しいマックスの元へ戻れてよかったと思いましたが、それにしても、ベラが何故あれほどモテるのがちょっと解せない気もしました。

まさもな会話も成立しないベラなのに、大人の身体を持ち、自分の意のままにできるだけで、これほど男性から求められる、ということでしょうか。

一見とても綺麗な映画ですが、その辺を考えるとやはり気持ち悪さは感じますね。

テーマも美術も世界観も、特に衣装は可愛くて素晴らしく、楽しめた部分が多いことは事実。

トータル好きにはなれませんが、すごい作品には違いありません。

興味のある方はチャレンジしてみるといいと思います。