自宅で何度か観ましたが、やはり映画館だと全然違うなぁと実感しました。
今までの印象も変わりました。
ファントムの表情など、家のテレビ画面ではよく見えなかったものが見えて、本当に良かったです。
あの曲が流れると無条件でゾクゾクします!
目次
19世紀のパリ・オペラ座では仮面をつけた謎の怪人・ファントムの仕業とされる奇怪な事件が続いていた。リハーサル中に起こった事故をきっかけにプリマドンナの代役を務めることになった若きオペラ歌手のクリスティーヌは、初主演となったその舞台で喝采を浴び、幼なじみの青年貴族ラウルとも再会を果たす。クリスティーヌに才能を見いだしたファントムは、彼女に音楽の手ほどきをし、クリスティーヌはファントムを亡き父親が授けてくれた「音楽の天使」と信じ、プリマドンナへと成長する。ラウルに愛されながらも、孤独な魂と情熱を持ったファントムに心をひかれていくクリスティーヌだったが、ある時、ファントムの仮面の下に隠された秘密を知ってしまう。
ファントムをジェラルド・バトラー、クリスティーヌをエミー・ロッサム、ラウルをパトリック・ウィルソンが演じ、ミュージカルシーンの歌唱もすべて本人が担当。スワロフスキー・クリスタル製のシャンデリアをはじめとした豪華絢爛な美術と衣装や装置なども見どころで、アカデミー賞では撮影賞、美術賞、歌曲賞にノミネートされた。日本では2005年1月に公開され、興行収入42億円の大ヒットを記録した。2024年6月、20周年を記念して4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。2004年製作/141分/G/アメリカ
原題:The Phantom of the Opera
配給:ギャガ
劇場公開日:2024年6月14日その他の公開日:2005年1月29日(日本初公開)
『映画.com』より引用
今までは、主人公のクリスティーヌがファントムとラウルを天秤にかけているような、二人の男性の間であっちへフラフラ〜こっちへフラフラ〜しているような印象がありました。
そんな風に見えて、彼女に共感し損ねている方が意外に多いかもしれません。
今回鑑賞して気づいたのは、彼女の二人の男性に対する愛情の種類の違いです。
ファントムは彼女にとって亡き父親から授かった「音楽の天使」であり、父親的な尊敬の対象です。
自分の才能を見い出し、音楽の世界に導いてくれた感謝もあるでしょう。
若いクリスティーヌは、父親とファントムを重ねて、愛情と感じていたように見えました。
彼女が何歳の設定なのか知りませんが、エミー・ロッサムは撮影当時16歳(びっくり)。
ファントムに対する気持ちが愛なのだと思っていても不思議ではありません。
そこへ子爵であり幼馴染のラウルが現れて心を奪われ、これこそが男性に対する愛だ! と分かってしまったのです。
ファントムには闇を味方につけた魔力のようなものがありますから、彼が歌うことでクリスティーヌの心は魅了されて、何度も引き戻されるのです。
なんたって16歳なんですから、心が揺れますよ。
物語全体を通して見ると、父親的な者との決別から、愛する人(ラウル)の元へ向かうという、クリスティーヌの成長物語となっています。
彼女が自分の元を去っていくと知っていながら、愛していると語るファントムの哀しさ…なんともやりきれません。
しかし、これまで力ずくで彼女を手に入れようとしていたファントムが絶望の末に、素直に愛を表現する姿は、最高に美しいと感じました。
また、ラウルが、顔はいいけれど男性としてどうかという問題が私の中でありましたが、そんなに悪くないし、彼なりに相当頑張っていたようで見直しました。
まぁ、ファントムに捕まった時「自分は死んでもいいからクリスティーヌを自由にしてくれ」のひとことは欲しかったですが、まだ若いし命も惜しいし、仕方ないですね。
ファントムの愛は永遠に続き、よって永遠に苦しみ続けるということで、過酷な運命に翻弄されたひとりの男という視点でも味わい深いです。
老ラウルが過去を振り返るという演出も素敵でしたし、音楽・美術・クリスティーヌの歌声と、どれをとっても一級品で、文句なしの映画体験でした。
こんなに分かりやすく描かれているのに気づかなかったなんて恥ずかしい…。