わずか31分の短編映画。しかし、なかなか趣があり、切なく面白い話でした。
30分でここまで表現ってできるのですね。
面白いだけの映画かと思った!
目次
1910年。シルバはかつて雇われガンマンとして共に働いていた旧友の保安官・ジェイクを訪ねる。出会ってから25年がたつ2人は、再会を祝して酒を酌み交わし、愛しあうが、翌朝ジェイクは豹変する。彼はシルバがここへ来た本当の目的を探ろうとして…。
2023年製作/31分/G/スペイン・フランス合作
原題または英題:Extrana forma de vida
配給:ハーク
劇場公開日:2024年7月12日
これは…ジェイクって最初からシルバの息子が殺人(ジェイクの弟の妻殺し)の容疑者だと知っていながら、自宅に招いたのでしょうね。
ということは、心の中ではシルバとの再会を喜び、知っていながら愛し合ったのですね。
なんだか、言い方は悪いですが、欲望に勝てずやることはやっておきながら、我にかえって豹変するとはあんまりな態度、という気がします。
シルバもシルバで、息子の罪をなんとかしてもらおうと訪れたフシがあり、こちらも本当のところ愛が先なのか息子の身の安全が先なのか分からないところがあります。
人間って白か黒かに分けられないところがあり、この二人の(いい歳しても)トンチンカンな心の揺れ具合がたまりません。
立場上決裂して別れても、互いに思い出すのは昨夜のことや25年前の楽しかった2か月のことばかり。
焼けぼっくいに火がつくとはまさにこのこと。
殺人者の息子がキュービッド(笑)
息子を逃がすために保安官のジェイクを撃ってしまうシルバでしたが、懸命に介抱しながら、そして介抱されながら、二人は真実の愛!?に気づいてしまうのです。
おそらく二人はこの先仲良く牧場を経営していくのでしょう。
西部劇という男性社会のなかのマイノリティとして、自分を押し殺して生きてきた男性二人が、本当の幸せを見つける映画でした。
『ブロークバック・マウンテン』の監督なりのアンサーという話もあります。
あの映画は愛し合う男性二人が、牧場経営の夢を語りながらも叶わず、片方が亡くなるという悲しい最後でした。
ヒース・レジャーが出てたんですよね、彼も亡くなってしまったため、さらに悲しい印象があります。
それを考えると、彼らの叶わなかった夢がこの映画で叶ったような気がします。
というか、全編を通してちょっとふざけている感じもあり、歳を取ってくると耐性がついて(撃たれるなどの)多少のことも許容できるようになってくるのかもしれないなと感じました。
31分でU-NEXT700ポイントは高いような気がしましたが、充分満足な作品でした。
映画館で見逃したので、早く配信で見られて良かったです!