北欧神話、ヴァイキング伝説を元にした、復讐譚。私は全くその知識はありませんが、シェイクスピアの「ハムレット」の元となる話だという情報だけはありました。主人公アムレートはハムレットのこと。
ただし、父親である王は毒殺されたのではなく、子ども時代のアムレートの目前で残忍な殺され方をしますし、狂人のフリをするどころか本物の狂戦士(バーサーカー)になってしまいます。
微妙な違和感を覚えながらも展開するお話。やがて異常な興奮状態に陥り狼の皮をかぶって叫び狂うアムレートを見てはっきりと悟りました。これは現代の常識など通用しない時代の話であり、共感を求められてもいない。ありのままに見て2時間超を捧げるしかないのだということを。
前半の狂った野獣のようなアムレートには、衝撃とともに相当な面白さを感じました。仇のフィヨルニルの集落に紛れたら、さらに怒り狂ってどうなるのかとワクワクしたのです。ところがアムレートは急に慎重になり、すぐやらない。人を殺すことなど何とも思わないのに、どうしてなのか? それが不思議なところでした。
子どもや信頼する部下から順番に殺せば、警戒されて失敗するかもしれない。それでもフィヨルニルに恐怖を与えることに賭けたのか、もしかすると何かの伝説が下敷きとしてあるのかもしれません。
知識があればもっと楽しめたかもしれない「ノースマン」。私が不勉強なこともあり100%楽しめなかったのかもしれませんが、難しい話ではないため、それなりに面白く鑑賞できました。
リアルとファンタジーの境界線を行き来するつくりのため、突き抜けたアクションとは言い切れない、どこか不気味で不穏な空気の漂う映画でした。おすすめできるかどうかは…人による!