予備知識なしでふわ〜っと見始め、大学の寮→夏休みが舞台の、同性愛の話だろうかと思ったら「ちょっと待て!」となり、一時停止でジャンルを調べてしまいました。
コメディ・サスペンスとありましたが、コメディ要素は??? どちらかというとサスペンスでした。
恋愛映画かと思っていたら、違和感だらけでした(笑)
エメラルド・フェネル監督の、『プロミシング・ヤング・ウーマン』に続く2作目。前作同様マーゴット・ロビーが製作に関わっています。
監督・キャスト
監督
エメラルド・フェネル
キャスト
バリー・コーガン(オリヴァー・クイック)
ジェイコブ・エロルディ(フェリックス・カットン)
ロザムンド・パイク(フェリックスの母)
リチャード・E・グラント(フェリックスの父)
2023年製作/131分/アメリカ・イギリス合作
原題:Saltburn
配信:Amazon Prime Video
配信開始日:2023年12月22日
あらすじ
アカデミー賞受賞監督エメラルド・フェネルが送る、特権と欲望を描いた美しくも毒のある物語。オックスフォード大学に入学したオリヴァー・クイック(バリー・キオガン)は大学生活になじめないでいた。そんな彼が、貴族階級の魅力的な学生フィリックス・キャットン(ジェイコブ・エローディ)の世界に引き込まれていく。そしてフィリックスに招かれ、彼の風変わりな家族が住む大邸宅ソルトバーンで生涯忘れることのできない夏が始まった。
アマゾンプライムより引用
合っているような、いないような、微妙なあらすじです。オリヴァーの愛と野望と執着が主体だと思います。
感想
主人公のオリヴァーを演じたバリー・コーガンは『イニシェリン島の精霊』でアカデミー助演男優賞にノミネートされた俳優です。
それも怪演で印象的でしたが、今作も大変不穏な空気をかもし出していました。
とにかく、何を考えているのかが読めないのと、本当の狙いも後半になるまでずっと分からないのです。
特に前半、画面もやけに暗くて見づらく、陰気で独特な雰囲気が立ち込めています。
2時間以上あり、かなりじっくりと話を引っ張るので、腰を据えて見る必要がありました。
主人公オリヴァーのフィリックスに対する気持ちは大変複雑で、愛情だけではない、憎しみ、執着、嫉妬、憧れなど、あらゆる気持ちが渦巻いているところが、とても興味深かったです。
複雑な気持ちの中でも、オリヴァーはフィリックスそのものになりたいという気持ちがあったのではないかと感じました。
このように、愛憎相半ばする、大好きな展開でした。欲を言えば、オリヴァーがもっと悶え苦しんでも良かったかも…とは思いましたが。
友達もなく、地味な存在であったオリヴァーが、フィリックスに気に入られ、ソルトバーンの邸宅に招かれてから、人が変わったようになります。
別人のように自信たっぷりで、事実、自信のある人間は魅力的でもあり、フィリックスの父、母、妹…と、家族を魅了し始めます。
ここで、オリヴァーの目的はフィリックスだけではなかったのだと分かってきました。
この先を知るのが怖い…一体いつから策略を練っていたのか…非常にダークで異常性癖もからんできて、不気味な展開へと進んでいきます。
終盤の展開、ラストシーンはお話しできませんが、ゾッとするような結末が待っています。
ゾッとして、その後絶句というか、口あんぐり。あっけにとられて終わります。
生身の人間が一番怖いという確信を強まり、ホラーよりもサスペンスの方が面白いな、とあらためて思いました。
この変態的な映画のどこにマーゴット・ロビーが関わっているのか、知りたいような知りたくないような…。
アマゾンプライムで見られます。かなり癖が強く、長い作品ですが、終盤すごく面白くなってきます。
万人受けはしないと思いますが、ぜひ多くの方に御覧いただきたいです。