『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』歌に大満足

ホイットニー・ヒューストン伝記映画。脚本は『ボヘミアン・ラプソディ』を手がけたアンソニー・マクカーテンだそうで、歌唱シーンが多いといいなぁという期待通り、見終わる頃にはライブを一本見たような満足感が得られました。

主演のナオミ・アッキーが本当に歌っているように見えること(鼻歌を一部歌っている程度のようです)、ホイットニー本人とよく見れば全然似ていないのですが、不思議と似ているように見えてくることが没入感に繋がります。徹底した過去映像の観察と役作りがあったことをうかがわせます。

ミュージックビデオやテレビ出演、スーパーボウルでの国歌斉唱のシーンも再現度が高く、ドキュメンタリーを見ているような気持ちになりました。

音源はホイットニー本人のものだそうで、なるほどあの歌声を再現できる人は他になかなかいそうにありません。

一方で既視感も少しありました。近年映画化されているアーティストたちが似通った経緯を辿っていることに気づきます。

才能を見いだされ、スターダムを駆け上る

富と名声を手に入れるが、一方で孤独も深める

同性愛差別や人種差別

搾取の苦悩

親子関係に問題が発生

キャリアのピークを超えたことを自覚

ドラッグ、アルコールへの依存

薬による事故死

何か、スターに迫ってくる避けがたい魔物でもいるような気さえします。

ホイットニーも晩年は声が出なくなったと言われますが、ドラッグに溺れることなく自制して、自分の身体も天性の声も大切にしていれば、48歳という若さで亡くなることもなく、まだまだ活躍できていたはずです。他にも多くの偉大なアーティストがドラッグにより奪われていていることを思うと、なんとかならなかったのだろうかと、やるせない気持ちになります。

輝いていた頃のホイットニーの圧倒的なパフォーマンスと、一方で闇の部分の対比。大スターとして生きることの難しさを感じる映画でした。歌唱が多く、年末年始におすすめの映画です!

(余談)珍しく今回はパンフレットが欲しいと思いましたが、なんと作成されていないとのこと。これはもったいない話です! なんで作らないのかなー?