【映画】「グリーンマイル」(1996)

先日ショーシャンクの空にを見て、そういえば原作・監督が同じこの作品も見ていなかったと気づき、鑑賞しました。感動ものは避けていたのでアカデミー賞にのぼるような重要作品も全然見ていないほりもぐでした。

無実の罪で死刑囚となったジョン・コーフィをイエス・キリストになぞらえている設定ありきで見ると、処刑されるであろうことがあらかじめわかってしまうしんどさがありますね。クリスチャンであればしっくりくる話なのかもしれませんが、なかなか難しいと思いました。

コーフィは脱獄して助かる可能性もありながら、そのまま抗いもせずに刑を受け入れます。ポールを含む看守たちも、あまりにあっさりと死刑を覆すのは無理だと判断します。所長の妻は危険をおかしてコーフィを連れ出し、特殊な能力を使わせるなどして、総出で助けるのに?という疑問が残ります。

予言や治癒などの非現実な場面があるならキリストの復活のような、コーフィの復活もあり得るのかと思いましたが、それもなく、「神の子」をただ処刑してしまったという悲劇に見えます。本人が望んでもなんとしてでも阻止するべきでしょうが…とモヤモヤしつつ、この不快さがグリーンマイルの肝なのかと感じました。

この人間世界の不条理、泥中の蓮さえ摘み取られていくむなしさ、生きることがネガティブに捉えられているように見えます。

ポールは処刑前のコーフィから命を分け与えられて108歳まで元気に生きていますが、ギフトとして授けられたにもかかわらず、ポールは罰だと解釈しています。これが罰だと思うところがポールの苦しみです。

元気で長生き、いいじゃん! と思いそうになり、ふとネズミのMr.ジングルスのことを考えました。寿命2年のネズミが60年生きているということは寿命の30倍は生きているということ。ポールは2400歳ぐらいまで生きるのかもしれません。そこまで考えると「罰かな…」と絶望する気持ちも理解できますね。やはり「神の子」を処刑した罪で生き永らえていると解釈した方が良さそうです。

ただ私個人は2400年生きて「19世紀から生きてきたたった一人の人間」になるのも悪くないなと考えたりします。個人の死生観が問われる作品ですね。

パーシーとウィリアムがかなりクレイジーで登場時間が長いところ、死刑執行シーンが多いところも私には少し厳しかったです。ヘビーなシーンは割と平気なのですが、そんなに必要か? 必要なのか? という疑問が拭えませんでした。

評価は 3.5

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