予告を見て想像した通りの話でありながら、想像以上にすばらしい! それはトム・ハンクスだから!
トム・ハンクスが頑固じいさんのオットーをとっても魅力的に演じています。映画館のあちらこちらですすり泣きが聞こえる、じ~んと染み入る作品でした。
生きる希望とは?
妻を失って、生きる希望をなくしていたオットーですが、向かいに越してきた家族と交流することで、少しずつ心を開いていきます。
一家の困りごとを(渋々)助ける形で、次第に人の役に立つ喜びを知っていくオットー。
必要とされることで、生きる希望を取り戻すことができたのです。
向かいの奥さんのマリソルは、人懐こくて頼み上手。もしかすると、オットーの意固地な様子を見て、あえて執拗に関わっていたのかもしれませんね。
私が好きなシーンは、マリソルがオットーから運転を教わるシーンです。
パニックになるマリソルに対して、オットー流の、不器用で精一杯の励ましが、とても素敵でした。私も運転が苦手なため、余計に感動してしまいました。
二人の信頼関係が結ばれて、ようやくオットーが自己開示を始めます。話すことで気持ちが癒やされ、止まっていた時間が進み始めます。
2つの生き方に大きな違いがある
仮にオットーが命を絶とうとした時までの一生だったなら、幸せな生涯だったとは言えないでしょう。
一方、数年の時を経て、他者と助け合うこと、温かい交流を持つことなど、生き方を変えて人生を全うしたオットーはとても幸せだったように思えます。
ここから何を感じたかというと、ありきたりですが、いつからでも人生をやり直すことができるということです。
生きている限り変われると、いつも思ってはいますが、こうしてあらためて映画でしっかりと語られると、深く感じ入ります。
子どもたちと猫が激カワ
マリソルの子どもは元気な女の子二人で、プロレスが大好きで人形を戦わせて遊ぶところ、オットーに屈託なくからんでいくところが、とても可愛くて癒やされます。
さすがのオットーも、子どもを邪険に扱うわけにはいかず、困りながらも遊び相手をしてやるところに優しさを感じました。
また、猫がとても可愛いのです。野良猫ですがノルウェージャンフォレストキャットような長毛で、箱に入るという芝居もできる、賢いニャンコでした。
追い払っても逃げない、犬を引っかく、という設定で、なかなか根性のある役どころでした(笑)
まとめ
誰でも長い人生の中でつらいできごとはあります。そんな時どうしたらいいのか、とすごく考えました。
心を閉ざしたくなる時、人と関わりたくない時も確かにあります。ただ、困難を乗り越えるには、人の手を借りることが大切とあらためて思いました。助け合って生きていくって、楽しくて美しいのです。
たったひとりで生きていくのが立派なのではなく(それに無理なことです)、時に助けを求めたり、求められたりして、他者と関わって生きていくことが大切だと思いました。
トム・ハンクスの名演をじんわり味わいたい方、猫好きの方におすすめです。
優しい気持ちになれますよ! ハンカチをお忘れなく…。