アレサ・フランクリンといえば50代の私(田舎育ち)からすると、80年代にジョージ・マイケルやユーリズミックスとコラボしたり、映画ブルース・ブラザーズに出演したことがリアルタイムでの知識です。知った時にはすでにゴスペル、ソウルミュージックの大御所でした。
幼少期から類まれな歌唱力を持ちながら、母親を失った喪失感、十代前半での出産、父親の支配、ヒットに恵まれない時代、夫からの暴力、アルコールへの依存、と様々な苦難が彼女に起こります。彼女自身の孤独や心の隙間が呼んだ出来事もありますね。
そのことに気づき、本当に信頼できる周りの人々に気づき、苦難を乗り越えて立ち上がるのですが、自分が苦しんだからこそ、不当な扱いを受けた人々への深い共感と祈りを歌に込める力が持てたのでしょう。
偉大なシンガーのサクセスストーリーと言うには終盤までなかなか苦しい印象でしたが、最後の「アメイジング・グレイス」に苦しみを乗り越えてこその輝きを集約させたと言えます。ジェニファー・ハドソンがとてもいい! 演じる技量がある方がいらして本当に良かったと思います。
エンディングはアレサ本人の腹にドスッと響く生前の「ナチュラル・ウーマン」歌唱映像でしたが、オバマが目頭を押さえ、キャロル・キングが大喜び、の2015年「ケネディ・センター名誉賞」サプライズ登場場面でした。
キャロル・キング大好きなので、その辺のおばちゃんみたいにキャッキャ喜んでいるところに非常に親しみが持てましたし、アレサ・フランクリンがいかにスター中のスターなのかがわかりました。
人生いろいろありますが、がんばっていこうとジワジワ元気が出る一本でしたよ。