『チャレンジャーズ』映画感想文・テニスおたくの変態、タシ

テニスにもゼンデイヤにも興味がなかった私ですが、この映画はめちゃくちゃ面白かった!

主人公タシに「男たちのヒリヒリする試合が見られるなら何でもする! 」みたいな変態性を勝手に感じました。

あらすじ

テニス選手のタシ・ダンカンは確かな実力と華やかな容姿でトッププレイヤーとして活躍していたが、試合中の怪我により選手生命を絶たれてしまう。選手としての未来を突然失ってしまったタシは、自分に好意を寄せる親友同士の若き男子テニス選手、パトリックとアートを同時に愛することに新たな生きがいを見いだしていく。そして、その“愛”は、彼女にとって新たな“ゲーム”の始まりだった。

「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーがパトリック、「ウエスト・サイド・ストーリー」のマイク・ファイストがアートを演じた。

2024年製作/131分/PG12/アメリカ
原題:Challengers
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2024年6月7日

『映画.com』より引用

感想(ネタバレ含む)

タシ(ゼンデイヤ)とアート、タシとパトリックのイチャイチャシーンの多さには胸焼けしそうになりましたが、そのマイナスを補ってあまりある面白さでした。

彼女はアートまたはパトリックとの恋愛よりもアート&パトリックの関係性やテニスそのものに強い興味があったのではないでしょうか。

この二人と関わることで、自らの性的欲求と彼らの愛憎劇(BL要素)、私怨がらみの真剣勝負、と多くのスリルと快感で満たされるのです。

これを最高のゲームとして楽しんでいたフシがあるタシ。

彼女がアートとの結婚に至った部分が描かれていないという方もおられますが、それは彼女にとって重要ではなかったからではないでしょうか。

私から見ると、彼女はどちらかというと結婚したアートよりも、パトリックの方が刺激的で好きだったのではないかな、とすら感じました。テニスも彼の方が強かったはずですし、アートには申し訳ないけれど、強い人の方が絶対好きですよね。

我の強さが似ているので衝突したものの、ずっと惹かれ合っていたように見えます。

もしかすると、パトリックへの当てつけでアートと結婚し、互角に戦わせるためにアートのコーチについたのかもしれません。

タシはパトリックにイカサマを持ちかけるという最低行為で、彼を激怒させましたが、それすら焚きつけるための戦略(&性欲)だったのでは。

そうだとしたらタシおそろしや…と考えている自分もおそろしい(笑)

「本気で殺し合うようなプレーが見たい、アートとパトリックの絡みが見たい、しかも二人が自分を取り合っていたら最高」

そんな変態性が感じられて仕方ありません。

そもそもタシが首を突っ込まなかったら、男性二人は平和なテニス人生を送れていたはずなので、とんだ悪魔に魅入られたものです。

パトリックは試合中に「タシと関係を持った」ことを示唆して、夫アートの闘争心に火をつけます。

三者ともに性欲・愛憎・私怨・かけ引きでカオスになっているところが、非常に面白かったです。

この物語がたまたま女男男だっただけで、どの人物がどの性別でも通用するような話であるところがLGBTQ的であり、興味深いです。

ルカ・グァダニーノ監督はゲイだそうで、なるほどと思いました。

時系列が行ったり来たりして、少し混乱する部分があったのと、劇伴がノリノリで高揚感があり、大変楽しかったのとで、もう一回ぐらい見たいな〜と思いました。

この映画、全然見る気がなかったのですが、話題につられて見たら、相当な拾い物でした。

ゼンデイヤのビジュアル(おもに顔)が不安定で、アレレ?と思う時があり、あまり好きではなかったのですが、スター選手時代の王者の貫禄は素敵でした。

さすがにスタイルを披露すれば圧倒的ですよね。デューンの時に地味に見えたのは衣装のせいだと分かりました。

それでも、まだ好きとは言えないゼンデイヤですが、今作が良かったので、活躍に期待したいです。