スティーブン・スピルバーグの自伝的映画。
フェイブルマンズというタイトルには、寓話の一家という意味があります。
スピルバーグの個人的な話というよりも、普遍的な「家族の物語」としてエンタメに昇華させているところが素晴らしい作品。
新宿の映画館「TOHOシネマズ新宿」で鑑賞しました。ここはロビーなど広々としていて好きな映画館です。
あらすじ
両親に連れられ、初めて見た映画「地上最大のショウ」に魅せられたサミー・フェイブルマン少年。
8ミリカメラを手にし、列車の脱線事故の再現から、家族の行事、妹たちを登場させた作品などを次々と作成していく。
生真面目な電気技師の父、奔放なピアニストの母の元で、さまざまな葛藤もありつつ、人として、映画人として、成長していく。
スピルバーグ6〜17歳まで、映画監督としてスタートするまでの自伝的なお話。
テーマ1「家族の話」
スピルバーグ本人が語っているように、家族が重要なテーマとなっています。
映画を芸術として全面的に認めてくれるお母さんの存在が、とても素敵でした。
子どもの夢を応援し、励ましていける親でありたいと思わずにいられません。
一方で、父親との関係があまり良くなかったという話を聞いたことがありましたが、充分にいいお父さんで、これまでの印象が覆りました。
真面目な父親、また時代もありますし、趣味としての映画は認めるけれど…という考え方も、それはそれで分かるのです。
それぞれの親なりの愛し方があったのでしょう。
そんな両親が別れることになる、寂しい展開もありますが、ここで感じたのは「愛情があるからこそ苦しむ、また、苦しみが分かるからこそゆるすことができる」でした。
愛って一度ねじれないと「赦し」にならないのかもしれませんね。
…なんか深いこと言ったような気がします(笑)
テーマ2「夢に支えられる」
もうひとつ私がテーマとして感じたのは、彼を支えた「映画への情熱」です。
さまざまな困難に見舞われても、映画の制作だけはずっと好きで、やめなかったことに、とても勇気づけられました。
途中で大叔父、またラストシーンでとある人物が出てきます。
父親からなかなか認められなかった映画への道を、彼らから肯定され、また励まされ、その喜びがこちらにも伝わってきました。
特にラスト、これまでの苦難を払拭するような素晴らしい終わり方で、ここだけでももう一度見たいと思わせるような、本当にいい場面でした。
まとめ
スピルバーグ作品に、心の機微、のようなものを感じることが少なかった私ですが、今作はとても細やかだったように思います。
言葉ではない部分でも「感じる、考えさせる」部分が多く、スピルバーグの中では最も好きな作品のひとつになりました。
家族のあり方について考えたい方、夢を叶えるために頑張っている方におすすめしたい映画です。