この日はクローネンバーグに続き、ホラー二本立てで、元気いっぱいのほりもぐです。
もう50代も後半でいい年なのですが、ホラー映画で元気が出るのはどうしてでしょうか…面白くてしょうがないです。特異体質ですかね。
さて他にもブギーマンと呼ばれる怪物の類が出る映画はありますが、この『ブギーマン』は単独作品です。
スティーブン・キングの短編小説を元にした作品のようです。
ちょっと思うのですが、どこまで作品に忠実に作っているんだろうと疑わしい部分はありました。
「子取り鬼に我が子3人を殺された男が、精神科医を訪れて後悔する胸の内を告白する」という原作のようですが、本作ではそれが1エピソードにしか過ぎません。
どうも、原作の男が関わった精神科医(ここではカウンセラー)に主役を変えているようです。
今回はこの作品の良かったところを3つ挙げます。
意外と怖い!
母親を事故で亡くし、失意に沈む父親と娘二人(セイディとソーヤー)、心の闇につけこんでブギーマンは現れます。
まずは幼いソーヤーの元へチラッチラ出てくるのですが、クローゼットやドアの少し開いた隙間、またベッドの下にブギーマンが潜んでいるのです。
これはかなり怖いです。
正体が分からず「何かがいる」というのが最も恐ろしいのですが、その演出が巧みでとても良かったです。
正体が明らかになると恐ろしさが半減するのが玉にキズですが、なかなか努力の感じられる造形でした。
「こんな風に作ってみましたが、いかがでしょうか…」そんな奥ゆかしさを感じます。
ただ、ブギーマンって人間に近いイメージだったので、化け物・怪物寄りだったのが想像と違っていました。
ひとことで言うとエイリアンが蜘蛛になったような感じ。
もっともエイリアンほどのインパクトはなく、あらためてエイリアン(というかH・R・ギーガー)は偉大だったなと思いを馳せてみたりしました。
子役の二人が上手!
高校生のセイディ役のソフィー・サッチャーも良かったですが、幼いソーヤーを演じたヴィヴィアン・ライラ・ブレアちゃんが、只者ではない表現力を持っていました。
もちろんものすごく可愛いのですが、一本の映画の中できちんと「成長」しているところまで演じ分けているのです。
怪しい気配を真っ先に感じる役どころで、かなり出演シーンが多かったのですが、安定感すらありました。
気になって調べたら、ディズニープラスで独占配信中のオリジナルドラマシリーズ『オビ=ワン・ケノービ』(全6話)で幼い頃のレイア姫を演じていました。やっぱり…恐れ入りました!
まだ11歳、このまま、いい女優さんに成長してほしいと思います。
物語がしっかりしている!
ホラーはホラーなのですが、母親の喪失から立ち直る家族の話が主題としてあり、ただやみくもに人が襲われる話ではないところに好感が持てました。
父親もまた子どもの苦しみに向き合えていなかったという反省があり、家族の絆が強く結ばれるラストでした。
ジャンプスケア(大きな音などの驚かせ)があったり、子どもが先に異変を感じ、大人がなかなか信じない的な展開もお約束のようにありましたが、物語がちゃんとしていたので、大目に見ました(何様)。
セイディの意地悪な友人が、腹も黒いことだし、いかにもやられそう…と思っていましたが、意外と無事で驚きました。
最後に「まだいる」的な匂わせがあったので、続編があるかもしれません。
というわけで、普通の面白いホラーでした。それほどショッキングな映像はないので、楽しんでご覧ください!