雨が続く中で見に行き、カラッとした気持ちになれました。
短時間で見られて楽しい作品です、この軽さ、結構好きだな…。
↑上の二人は同級生! ピエールイケメン!
目次
1970年、バレー州の小さな村モンシュ。ワイン醸造家のアロイスは地元のブラスバンドの指揮者を務めており、村で毎年開催されている音楽祭のオーディション通過を目指して練習に励む日々を過ごしていた。しかし彼の指導力を疑問視する楽団のメンバーが、村出身でプロの音楽家としてパリで活躍するピエールをこっそり呼び寄せてしまう。伝統を重んじるアロイスと違い、ピエールは才能ある女性や移民を次々と楽団のメンバーに迎え入れる。やがて、アロイスとピエールをそれぞれ指揮者に立てた2つの楽団が出来あがり、両者の対立は村全体を巻き込んだ大騒動へと発展していく。
2019年製作/90分/スイス
原題または英題:Tambour battant
配給:カルチュアルライフ
劇場公開日:2024年10月4日
まるで子どもの喧嘩のような対立が起こり、そこには伝統と革新、排他と多様性が重ねられ、女性の権利、友情、親子など多くの問題がからみ、90分で収まるのかなと心配になるほどでした。
とにかく自己中で頑固でどうしようもない主人公アロイス。楽団のメンバーが去っていくのもわかります。
しかし、ピエールの方がましかと思いきや、彼もなにやら嘘つきっぽくて軽薄な感じ。
どっちもどっちだなぁ…という感じで、呆れながら見るのが正解かもしれません。
この二人はアロイスの妻を巡って過去に対立したそうですが、妻マリー=テレーズがなぜアロイスを選んだのか、ちょっと不思議。アロイスがワイン醸造所を持っていたからだとすれば、ちょっと打算的ではありますね。
性格の悪い男性で、しかもピエールと比べたらルックスもやや劣るし、やはりお金だったのでしょうか…。
物語は、楽団、友人、夫婦、親子と、あちらこちらで対立ばかりなので、少しウンザリしてしまいます。
衣装の盗難、取っ組み合いの喧嘩、大麻クッキーや下剤入りワインなど、そのうち殺人でも起こるのではと思ったら、まさかの妻による「アロイスとピエール閉じ込め」で仲直り!?
一晩酒飲んで話をしたら解決って、いくらなんでもイージー過ぎないかと思いますが、娘の結婚式で大団円となり、ちょっと無理矢理まとめた感じがありつつも、皆がハッピーないいラストとなりました。
私は、ピエールと目が不自由な父親との和解が心に残りました。
息子に厳しく接しながらも、内心彼の活躍を喜び、嫌だと言いながら犬を連れて歩き、本当は愛情深いお父さんだとよくわかりました。
その犬(ブルドッグかな?)がまた可愛くて、喧嘩ばかりしている人々の中で、あまり関わりなく存在しているピエールの父親とシボレーちゃんに癒やされました。
結局、アロイスの楽団の衣装を盗んで汚したのは誰だったのか(私はアロイスの自作自演を疑っていました)、はっきりしませんが、ピエールたちだったのでしょうか。
これだけは盗難事件なので、はっきりさせてほしかったのですが、回収なしでしたね。
あと、少し残念だったのは、ブラスバンドの対立ということで、もう少し演奏シーンがあれば良かったかもしれません。
よく見ると5年も前の映画で、これがなぜ今劇場公開されたのか今ひとつ疑問ではありますが、まあまあ楽しい作品で良かったです。
安心して気楽に見られる短めの作品というのも、いいですよね。