賛否が分かれているようですが、私はこの作品、大好きです。
期待されているようなものは見せないぞ、と、ジョーカーに心酔する者へ冷や水をぶっかけるような作品。
それでいいと思います。
↑ 家族4人で見に行った(笑)
目次
理不尽な世の中で社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカー。そんな彼の前にリーという謎めいた女性が現れる。ジョーカーの狂気はリーへ、そして群衆へと伝播し、拡散していく。孤独で心優しかった男が悪のカリスマとなって暴走し、世界を巻き込む新たな事件が起こる。
2024年製作/138分/PG12/アメリカ
原題または英題:Joker: Folie a Deux
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2024年10月11日
酷評という話を聞いて私が想像したのは「まさか、アーサーがリーという恋人を得てハッピーになる話なのでは?」というもので、それなら最低だな〜と思っていました。
悪いけれど普通の幸せはもう手にできないアーサー、でなくてはならないのです。
また、山を作ろう山を作ろうと歌っていたので、タイトル通り二人で闇落ちし、死体の山でも作るのかな? という予想もありました。
しかし、どちらも全然違いました。
リーが愛していたのはジョーカーであり、アーサーがジョーカーを降りた途端に気持ちがなくなり去っていったのです。
いやそもそも、リーはジョーカー(アーサー)を愛していたのかどうかも怪しいのです。
アーサーの恋人として注目され満足そうにしていたり、昔の友だちが今の私を見たら驚くだろうと言ってみたり、自分が特別な存在になることこそが大切と感じているように見えました。
思い込みの強い危険なファンのよう…それを信じて、愛してしまったアーサー。
私は、ジョーカーに取り込まれた大勢の中の一人としてアーサーをとらえていたので、ラストで他の人物が自分の口を裂いた時に、彼が新たにジョーカーに成り代わったのだと受け取りました。
不幸な生い立ちにより自分の中でジョーカーを生み出してしまった男が、愛を知り、元の自分へ戻っていく。しかし皮肉なことに、彼女から求められていたのはアーサーではなくジョーカーだった。
アーサーには用がないとばかりに去っていくリー。さらに皮肉なことに、ジョーカーに嫉妬する男から刺されてしまう…。
人が人を裁く虚しさや、巨大化したジョーカーに翻弄されるアーサーの報いなど、やりきれなさを感じる物語でした(が好きです)。
ラストで面会に呼ばれたアーサーですが、本当に面会者がいたのか、いたとすれば誰だったのか、刑務官が何か仕組んだのかとも思えました。
彼にはもう会いに来てくれる人などいないはずですから…か、悲しい。
不評との話ですが、私は『ジョーカー』の時もどちらかというとアーサーに着目していたので、今作はひじょうに面白く拝見しました。
前作を見直してからもう一度見たいと思いました。