【U-NEXT】『ジャッキー・ブラウン』(1998)映画感想文・みんな巻き込まれてジャッキーのペース

タランティーノ作品の中では、少し地味な印象の作品です。

しかし、主人公ジャッキーがカッコよくて、私は大好きです。

これも一種の復讐劇なのかな?

カッコいいぜ…

え〜!!

あらすじ

メキシコの航空会社で客室乗務員として働くジャッキーは、安月給を補うため、武器密売人オデールの運び屋の仕事を請け負っていた。そんなある日、彼女はオデールを追う連邦捜査官レイに逮捕され、オデール逮捕に協力するよう取引を持ち掛けられる。その一方で、ジャッキーは保釈屋マックスの力を借りてオデールの金を横取りしようと企んでいた。

1997年製作/155分/アメリカ
原題または英題:Jackie Brown
配給:松竹富士
劇場公開日:1998年4月25日

(『映画.com』より引用)

感想(ネタバレ含む)

中年にさしかかった女性の悲哀が彼女自身にはチラホラにじんでいるのですが、実際はたいそう魅力的で、周りの男性たちはいつの間にか彼女を信じて言いなりになってしまいます。

人前では自信や説得力に満ちた強い女性、一人の時は不安げな表情も見せるというギャップが、人間味にあふれていて好きです。

マックスを招いた時の様子など、とても可愛らしくて素敵でした。

そういえば、マックスは向こうから歩いて来るジャッキーのシルエットを見ていきなり魅了されます。どこに?と思わずにはいられませんでしたが、スタイルや、迫力、存在感でしょうか。

お金の横取りを企ててからは、ますます美しくなっていくジャッキー。見ているこちらも彼女のペースにはまっていきます。

特に後半の現金受け渡し練習から本番にかけて、どんどん面白くなっていきました。

ロバート・デ・ニーロが全く冴えない男の役で贅沢使い(無駄使い)されているのも楽しいですし、銃器の長い講釈やブリジット・フォンダの美しい生足など、タランティーノらしさを随所に感じました。

また、ジャッキーとマックスの大人のほのかな恋愛の描き方にはぐっとくるものがありました。ちょっとしんみりする切ない別れでしたね。

恋愛もうまくいくばかりが良いわけではないと、割と年をとってからわかるようになってきました。ほろ苦さが味わえるようになってきたのかもしれません。

人生の瀬戸際に立たされた中年女性の、一発逆転の物語であり、同じ中年女性として感情移入して見られました。女性の描き方も違和感がなくて上手なタランティーノです。

それに、残酷な殺人描写などが注目されますが、結構心の機微を描くのが上手いと思います。それがあるから好きなのかもしれません。

それにしてもパム・グリア…今はミッキー吉野のようになっていて、びっくりしてしまいました。ジャッキー・ブラウンよ以前の若い頃はさらに美しく、本当に素敵だったのに、大きくなってしまっていました。時の流れか…。

ともかく、善悪は別として、中年女性も輝いてカッコよく生きられるという意味において元気をもらった映画でした。