単館上映から口コミで拡大、とても話題になっていたため、公開から2か月遅れて鑑賞しました。
新宿ピカデリーの広いスクリーンが平日でも満席でびっくり。
さらに、応援上映かと思うほど、「わー」とか「ええっ!?」とか独り言を言う人がいたり(これはちょっと迷惑)、笑い声も多く、終演後は拍手も起こりました。
とても面白かったです!
目が悪いのでアニメ作品かと思っていました(^_^;)
目次
幕末の侍が現代にタイムスリップする話。いや〜今までさんざんそういうのあったし…と敬遠していました。
しかし無視できないほど話題になったため、よほど面白いのだろうなと期待がふくらみましたし、実際に会場が熱気に包まれていました。珍しい雰囲気でした。
タイムスリップという設定に加えて、朝ドラの「カムカムエブリバディ」や、大部屋で切られ役に徹した福本さんのことが想起させられて、内容としてはあまり新鮮ではありませんでしたが、何よりも主演の山口馬木也さんがとても良かった!
彼の内面からにじみ出るような精神性、他者への敬意、真摯な態度など、人間としての魅力が存分に発揮されていて、映画の推進力となっていました。
山口さんなしではこのヒットはなかったでしょう。
タイムスリップ後、驚きからの逡巡や苦悩を丁寧に描いて、現代に適応していくところに無理もなく、高坂に感情移入して映画に没入できました。
時代劇というものが、武士道の精神と共に日本から失われつつあるのが現実としてあります。そのため、祖父が見ていた頃の懐かしさや、郷愁のようなものも感じました。
錦京太郎の軽い感じと、風見恭一郎の重厚さの対比も、偽物と本物、ということで面白かったです。
高坂を取り巻く人々が皆いい人達で、優しい気持ちになれるところも素敵ですし、助監督の優子にほのかな恋心を抱く展開も初々しくてホッコリするエピソードでした。
一度は生死をかけた勝負、というところから、この現代で自分も相手も生きていかなくてはいけないとという思いに至る苦しさ、決意は感動的でしたね。
撮影側が真剣を認めたのはちょっと無理があったかな…と勝新太郎の息子の事件(助監督から真剣を渡され、知らずに?切りつけた相手が死亡)を思い出し、1988年より後の設定なら絶対に有り得ないとは思いました。
いくら念書を書いても、死亡事故が起こりうるリスクをわざわざ負うはずがなく、その辺りがちょっと気になりました。
また、その命がけの撮影のさなかに、撮影スタッフが声を出して呟いたりするのもあり得ないな、とは感じました。
口で説明しなくてもマジなのはわかっとるわい、と思うわけですが、子どもやお年寄りにもわかりやすいように口で説明しているのかもしれません。わかりやすいからヒットしているのでしょうし、それでいいのでしょう。
さらにたくさんの方に見ていただけるといいなぁと心から思いました。