『ザ・クリエイター 創造者』感想文・オリジナルSF作品!その心意気が胸熱

結論から言いますと『ザ・クリエイター 創造者』はオリジナルなSF作品であり、ロースペックながら高品質な映像を提供する点で驚異的です。

ギャレス・エドワーズ監督のSFへの情熱とオリジナリティ、日本へのリスペクトが感じられ、ワクワク感を与えてくれます。

一方で、惜しいと感じたのは登場人物の内面描写。主人公の妻の心情などに改善の余地があり、もっと彼女の内面に焦点を当てることで共感を深めることができたかも。

あと、世界のワタナベこと渡辺謙が結構重要な役で出ていますが、興味がないので触れません。

あらすじ

AIが核爆発を起こしたことをきっかけに、アメリカはAI撲滅を目指している。

両者間で激しい戦争が10年以上続く中、ニュー・アジアでは人とAIが共存共栄していた。

元特殊部隊のジョシュアは兵器の創造者の潜伏先を見つけ暗殺に向かうが、実は妻を探す目的があった。

潜入先で彼は少女型のAIアルフィーに出会い…。

近未来を舞台にしたSFアクションで、オリジナル作品。

ネタバレあり感想

まずこの映画の特筆すべき点として、原作なし・オリジナルのSF作品であることが挙げられます。

現代においてオリジナルのSF作品は希少であり、その点でギャレス・エドワーズ監督の挑戦的な姿勢と創造力に注目が集まりました。

この映画は50万円の安価なカメラ(SONY製)で撮影されながらも、IMAX級の映像美を提供しています。

ハリウッド作品では通常1000万円以上のカメラが使用されますが、この映画が低予算で高品質の映像を実現したことは驚異的です。

また、ストーリーがオリジナルであるため、展開を予想できず、ワクワク感を強く感じました。

監督のSFへの愛とオリジナリティへのこだわりがメカ造形など作品の各所に感じられ、その熱意に共感や尊敬の念を抱きました。

さらに、日本へのリスペクトも豊富で、日本語のフォントや看板に関する微笑ましいカッコ悪さも散りばめられており、日本人としては楽しい発見もあります。

しかし、一方で主人公の妻に対する共感が不足気味…と感じる部分がありました。

主人公のジョシュアは妻に再び会いたいという思いに固執しており、その願いが物語の柱のひとつになっています。

しかし、妻の立場や感情についての描写が不足しており、彼女の立場や複雑な気持ちをもっと掘り下げて描いていれば、観客との共感が深まったでしょう。

ジョシュアがコピーロボットにメモリースティックを差し込んで妻と再会する切ない場面は、妻の内面にもっと焦点を当てることで、もっと感情的な重みが増したかもしれません。

AI少女とも、いつのまにか心が通っており、何かきっかけがあったのか、なかったのかが分かりにくかったように思います。

もうすこし感情移入できれば、という惜しい気持ちもありますが、監督に対しては「その精神は買うよ!」と思える映画でした。SF作品って楽しいですね!