タランティーノの作品の中でもかなり好きです。レザボア、イングロリアス、ジャンゴ…このあたりが大好きです。
ラスト10分のカタルシスがたまりません。
怪我をして血まみれの手で演じきったディカプリオ、こわい…
目次
クエンティン・タランティーノが監督・脚本を手がけるウェスタン。南北戦争直前の1858年、アメリカ南部。黒人奴隷として売りに出されたジャンゴは、元歯科医の賞金稼ぎでキング・シュルツと名乗るドイツ人に買われる。差別主義を嫌うシュルツはジャンゴに自由を与え、賞金稼ぎとしての生き方を教える。ジャンゴには生き別れになったブルームヒルダという妻がおり、2人は賞金を稼ぎながら彼女の行方を追うが、やがて残忍な領主として名高いカルビン・キャンディのもとにブルームヒルダがいるということがわかり……。
2012年製作/165分/R15+/アメリカ
原題または英題:Django Unchained
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2013年3月1日(『映画.com』より引用)
南北戦争直前、黒人奴隷、西部劇…どれも詳しくはないし、どうなんだろう、楽しめるかなと心配でしたが、ものすごく面白かったです。
オープニングはいつものように非常にスタイリッシュでしたね。西部劇へのリスペクトを感じました。
初めは奴隷として白人に屈しているしかなかったジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が、賞金稼ぎシュルツ(クリストフ・ワルツ)と出会い、覚醒してどんどん強く、カッコよくなっていく姿が痛快です。
シュルツもまた、飄々としながらも頭脳明晰で差別を憎む信念があり、ジャンゴを相棒として「奴隷ではなく自由人」と紹介するところが素敵です。
元歯科医師という経歴がどこかで生きるのかと思いきや何もなく、謎設定でした。
なぜ歯科医師なのか…シュルツを教養のある人物にしたい→ドイツと言えば医師→医師なら儲かるだろうから賞金稼ぎなどしないのでは→歯科医ぐらいがちょうどいい→歯科医はサイコパスみもあるしな! ぐらいの感じでしょうか(全くの想像)。
クリストフ・ワルツは「イングロリアス・バスターズ」で虫唾が走るようなナチス将校を演じていて、今作の人物との振り幅がとても大きく、演技も達者すぎて同じ人物には見えませんでした。
ティム・バートンやテリー・ギリアムの作品に出ているそうなので、ぜひ見てみたいです。
物語の方はよく考えてみれば、ところどころ気になる点も。
ジャンゴの妻ブルームヒルダを命がけで一緒に救いに行く動機がシュルツはそれほどないのでは?
最後ジャンゴが抹殺されなかったのは、やはり不自然ではないか?
タランティーノって話を進めるためにチョイチョイご都合展開しがちですよね。御愛嬌という感じではありますが。
終盤の壮絶な撃ち合いと爆発で、いつものようにほぼ全員死亡という、ドリフのようなラストではありましたが、ジャンゴとブルームヒルダが共に去っていく姿がとても良かったです。
ブルームヒルダ役のケリー・ワシントンがとても可愛くて、最後の爆破で馬が驚いた時の、素の表情が印象的でした。
奴隷制度についてあまり知りませんでしたが、古代ローマ時代のように、見世物として戦闘することを強制していた例もあったかもしれません。あり得ない話ではないと思いました。
人類の歴史における闇を見事にエンターテイメントに昇華させた、よい作品だったと思います。