親子関係を描いたものには割と厳しめの私ではあるのですが、これはそれ以前の問題で、正直なところ怖かったです。
主人公の母エヴリンがいつ刃物を出すのか、と心配になりました。
いやA24だし、逆にそっちの方が面白かったかも…。
目次
DV被害に遭った人々のためのシェルターを運営する母エブリンと、ネットのライブ配信で人気を集める高校生の息子ジギー。社会奉仕に身を捧げる母と自分のフォロワーのことで頭がいっぱいのZ世代の息子は、お互いのことを分かり合えず、すれ違ってばかり。そんな2人だったが、各々がないものねだりの相手にひかれて空回りするという、親子でそっくりなところもあり、そのことからそれぞれが少しずつ変化していく。
2022年製作/88分/G/アメリカ
『映画.com』より引用
原題:When You Finish Saving the World
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2024年1月19日
母親と息子の話であり、二人とも自我が強く、周りの空気が読めず、相手の気持ちを察することができなくて、自分の考えをとにかく押しつけるタイプの人間です。
当然そんな親子が理解し合うのも難しく、うまくいかないわけですが、どう見ても母親がヤバイ人ような気がしました。
息子ジギーはまだ高校生。中二病っぽいところもあって幼いし、人間関係で失敗することがあっても仕方ありません。
しかし母親エヴリンはいい大人であり、相当危ない人物に見えました。
人を思い通りに動かそうとするタイプで、人怖系のホラー映画に出てきそうなサイコパスみのある人物です。
DVシェルターを運営して立派なのですが、息子が思うようにならないからと、シェルターに来たよその息子カイルに入れ込んで、あれやこれやと干渉し、ストーカーまがいの行動に出ます。
カイル親子それぞれからガツンと言われてショックを受けますが、刃物を持ち出す展開になっても全然不自然ではない感じでした。
カイルはシェルターを追い出されては困るので、処世術としてエヴリンと話を合わせ、言われる通りに振る舞っていたのかな、と感じました。
「腕がいいから自動車の修理工として働く」と始めから言っているのに、大学で社会福祉を学ぶべきだと勝手に決めて、異常な振る舞いを見せます。
私だったら別のシェルターに逃げるだろうな(笑)
人の子どもじゃなくて自分の子どもを救ってやってよ、と思いました。
ちょっと不思議だったのは、このすれ違い親子が、ラストにきて急に分かりあった風になっていることです。
エヴリンが子どもと同じ土俵に立って言い争いし、子どもを馬鹿にして傷つけ、残り30分までそんなことをやっており「もう無理かな、どうにもならないぞ」と思っていたのです。
なんとなく、カイルに拒絶されたから息子に戻ったようにも見えました。
この先うまくいくようにもあまり思えず、また衝突が起こる可能性も充分あり、めでたしめでたしとはいかない気がしました。
人間そんなに簡単には変われないものですから、微妙な雰囲気のまま放り投げたよね…というラストでした。
子どもはいいけど母親がイカンなぁ、という話で、父親は空気のようでした。
「お前たちは自己愛が強すぎる」これが唯一の重要な台詞だったかな。
映画.comの解説が褒めすぎですごく違和感があったことを付け加えておきます。
何か忖度があったのかしら…全然共感できなかったのだけど。
まぁそういうこともありますかね。