『ミッドサマー』が公開当時ちょっとハマらなかったため、『ヘレディタリー』は未見。
アリ・アスター監督が自分に合うのか自信がありませんでしたが、ホアキン・フェニックスの演技が観たかったので鑑賞しました。
結果、とても面白くて安心しました。先日から『哀れなるものたち』『瞳をとじて』が長時間&あまり刺さらなかったので、少し心配だったのです。
『ミッドサマー』がハテナ?という感じだったのは、映画をまだまだ見慣れていなかったせいかもしれないので、近々『ミッドサマー ディレクターズカット版』を見てみようと思います。印象が変わりそうな気がします。
目次
日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話していた母が突然、怪死したことを知る。
母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう”いつもの日常”ではなかった。
これは現実か? それとも妄想、悪夢なのか? 次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。
『ボーはおそれている』公式HPより引用
ボーの病的な不安症は、ユダヤ教に由来する宗教的要素(法や戒律)に関係するようですが、その方面は詳しくないので、親子関係の視点で考えました。
彼の母親という人物が、強烈な毒親です。それはもう清々しいほどの支配と抑圧とコントロールで、その救いのなさが大変「気に入り」ました。
ボーは結局、母親の呪縛から逃れられずに自滅するのですが、ちまたでよくある「親子ごっこのような映画」より、よほどリアリティがあり、シビアであり、滑稽です。
そもそも母親の育て方が子どもの性格特性に影響を与えているのに「子どもが愛情を返さない」と不満を爆発させる母親が、コメディとして描かれており、強烈な皮肉を感じました。
また、ホアキン・フェニックスが、ボーの情けなさ、哀れさを存分に表現していて、ジョーカーやナポレオンとはまた全然違う顔に驚きました。キービジュアルの表情もすごくいいですよね。
気になったのは「3時間は少し長いかな?」というところ。
最初と最後はいいとして、外科医の家〜森の演劇集団パートがちょっと長く感じました。
これでもかという災難でボーが哀れ過ぎて、正直なところ「もうその辺でいいのでは…」という気持ちになりました。
今作、とてもお金がかかっていて、美術の見ごたえもありましたし、細部に凝ったつくりもありました。
『オオカミの家』レオン&コシーニャ監督のアニメーションパートは、思ったよりキレイで可愛く、ちゃんとしています。
アリ・アスターは大物監督になってきたのかな、という印象で、今後の作品も楽しみです。
悲劇と喜劇は紙一重。全てが最悪でしたが、鑑賞後感が悪くない作品でした。
個人的には、通りでずっと裸で踊っている人と、キレっぱなしの外科医の娘、常にニヤニヤしている精神科医がツボで、まともな人が出てこないのもすごく楽しかったです。
もう1回見たいけど、3時間はきついかな〜。
お気に召すかどうかは人それぞれなので、興味のある方は挑戦してみてください。