『ミセス・ハリス、パリへ行く』感想

ハリスが一目惚れしたディオールのドレスは 450ポンド。今で言ういくらぐらいなのか気になりました。調べてみますと当時の1ポンドは今の4000〜5000円位らしく、一着180万〜225万円! ん〜高い! でも全く手が出なくてどうしようもない金額でもない。いい線ついてるな、と妙に感心。

あらすじ

1950年代のロンドン。戦争に行った夫の帰りを待ちながらハリス(レスリー・マンヴィル)は家政婦として地道に働き生計を立てている。ある日、働き先でクリスチャン・ディオールのドレスに心を奪われたハリスは、パリへディオールのドレスを買いに行くことを決意する。運に味方されてパリへ向かうハリス。オートクチュールのドレスを作るためには様々な困難が目の前に立ちふさがるが、持ち前の人柄で乗り越えていく…。

ハリスの魅力とは何か

行く先々で困難に見舞われながらも、その度に味方が現れることは、一見「ご都合的」と思えなくもありません。けれどそこには根拠がありそうだと感じます。ハリスに魅力があるから皆が手を貸したくなる気持ちになるのです。

この人には何かあるという雰囲気。自信に満ちたところや、品格があるところ。何か自分に信念があり、人としての魅力に満ちていること。そんな感じでしょうか。

真面目に誠実にコツコツと働き、優しい親友や知人に恵まれて暮らしてきたことが彼女の自信になっているのかもしれません。自分の慎ましい暮らしを卑下したり嘆いたりすることなく、誇りを持っているところが、とても素敵なのです。

ハリスは自分勝手?

ハリスの「ドレスを求めるという夢」ばかりにとらわれると大切なところを見失います。夢を実現させるための行動と共に、彼女は「おばさんならではのお節介」とも言えますが、困っている人を見捨てておけない親切心、人の良さ、優しさがあるのです。

できることは手を貸す、そして自分も助けてもらって感謝する。情けは人のためならずで、互いが幸せになることをハリスはよく分かっていたのでしょう。

自分勝手なだけの人であれば、人がついてくることはありません。そうなると「最後のドレス」は彼女の手に入らなかったはずなのです。

おばさんが主人公で絵が地味かもと心配な方へ

ハリスがことのほかチャーミングで、しかもパリに滞在してる間にどんどん垢抜けてきれいになっていきます。青年の妹の部屋にあったドレスを借りて着こなしているわけですから、たいしたものです。(私、腕とかもう出せません…。)

あと、ディオールのドレスがどれも素敵でハリスならずともため息が出ます。これは大きな見どころ。

また、若い人たちの恋を後押しする中で、モデル役のアルバ・バチスタが超絶かわいい! なにこの可愛さ! と目が釘付けになりました。ハリスと年齢を超えた友情が芽生えるところも素敵です。

世間には若い人をいじめたり、なんやかんやマウントを取ってくるクソ意地の悪いタヌキババアとかいますけれど(具体的な顔が浮かんできてしまいました…)、若い人をちゃんとリスペクトし、共感してフラットに付き合える大人になりたいものです。

さいごに

今年最後の映画館での鑑賞でしたが、しめくくりにふさわしい映画でした。ドレスに魅了される気持ちや、若い人たちに活躍してほしい、うまくいってほしいなという気持ちも分かり、年齢なりの共感も当然ありますが、それらを差し引いても十二分に素敵な物語でした。どんな人になっていきたいか、目標が見えた作品でもあります。

動画サイトなどで公開されたら、ぜひご覧になってください。私の年間トップ3に入る超おすすめ作品です!