『SISU 不死身の男』映画感想文・不死身過ぎる男の話

SISU(シス)とはフィンランド語で「すべての希望が失われた時に現れる、不屈の精神」という意味を持つそうです。

そういう熱い話は大好きなので、ドーパミン系の映画かなと予想して観に行きましたが、なんだかちょっと笑える感じになっちゃっていました。

想像を超えた不死身っぷりで、面白いことは面白いのですが、ちょっとやり過ぎかな…という気もする作品でした。

あまり過剰にやるとマンガのように見えてくるものです。

簡単なあらすじ

1944年、第2次世界大戦末期のフィンランド。アアタミはかつてひとりで300人ものソビエト兵を殺したという、伝説の兵士だった。

愛犬ウッコと共に荒野を旅しており、ある時金塊を掘り当てたが、ナチスの戦車隊に知られて命と金を狙われる。

何度も危険な目に遭うが、その度に強靭な肉体と不屈の魂で乗り越え、反対に敵を次々と血祭りにあげていく。

感想

機関銃での掃射、地雷原、縛り首など、どれかひとつでも生きながらえるのは困難な状況が次から次へとアアタミを襲います。

冒頭から台詞はほぼなく、ストーリーもシンプルで、映像で見せていく形でした。何も考えずに、ただ見て楽しむタイプの映画です。

はっきり言って、深いものは何も残りませんが、面白くて退屈はしませんでした。何があっても「どうせ助かるんでしょ?」という思いは湧いてくるので、あまり考えないのが吉。

フィンランド北部の荒野での撮影は寒さと強風で過酷だったそうで、60歳の主演、ヨルマ・トンミラの体力に感心するのと、殺伐とした物語の中で、プードルのウッコの可愛いさに癒やされました。

ウッコはよくアアタミの言うことも聞き、賢いなぁと思ったら、ヨルマ・トンミラの本当の飼い犬だそうで、なるほど息が合うのはそのためか、と感心しました。

序盤で、犬はおそらく大丈夫だろうなという確信が(なんとなく)持てたので、そこだけは安心して観られまた。

ちょっといただけなかったのは、ナチスに捕らわれていた女性軍団の使い方が雑というか、ご都合的で、カタルシスを得にくかったところ。もう少し丁寧に描いても良かったかもしれません。

あと、ラストにもうひとひねり、欲しかったかな…金を換金して終わりって少し物足りない感じもします。

まぁ、あまり理屈をこねる作品でもないので、単純に楽しむのが良いですね。

あえて学ぶところがあるとすれば「あきらめない心」が大切ってことでしょうか。精神的にこれくらい強靭になりたいものだと思いました。