『ドミノ』映画感想文・私はダメでした(T_T)

昔、「♪親亀の背中に子亀を乗せて〜そのまた背中に孫亀乗せて〜親亀こけたら皆こけた」という歌があったのですが、あれが虚ならこれも虚で…という感じの映画でした。

エンドロールが始まると、多くの観客が席を立ちました。果たしてこれは、「実はあいつが!!」を知っていて見たくないのか、それとも単純に面白くなかったのか。いずれにせよ、早く帰りたい気持ちにさせられたのは確かです。

私も本当に珍しく「もういいかな」と思って外に出ました。

ベン・アフレックとロバート・ロドリゲス監督がタッグを組み、行方不明になった娘を探す刑事が“絶対に捕まらない男”を追い、事態が二転三転していく様子を描いたサスペンス。

…なのですが、冒頭五秒で騙されると予告で言ってしまっているのと、Hypnotic(催眠術)という原題から、冒頭の世界は現実ではないのだろうなと始めから予測できてしまいます。

最初から催眠術にかかっている世界だと公式がネタバレしてしまっていて、これで楽しめるのか?という疑問が湧きます。

物語は進みますが、映画内世界のどこまでが虚で実なのか、明らかにしないまま進行するため、真剣に観る気になれず、次第にどうでもいい気持ちになってきました。

主人公の刑事ロークはずっとダイアナの誘導で動くため、ハイこっち、次はこっち、とRPGのようです。

ご都合主義(よく言えば伏線)で、なんだかなぁ…面白くなるのかなぁ…という気持ちで中盤まで見ましたが、次第にこちらが催眠状態に陥ってしまい、気がついたら二転三転の三転目ぐらいになっていました。

さっきまで見ていたあれもこれも、虚なんだよね? ということで、見落としてもさほど問題ではありませんでしたが。

ラストは、娘を守り、家族が一緒になる、そのために組織を内側から壊すということで「へぇ…そうなの…」という感想しか持てませんでした。

そんな凄い能力があるのなら、何か他の方法あったのでは? と思いましたし、娘ドミニクが強力な催眠術で自害を誘発し、組織の大勢を殺すのが果たしてベストな選択だったのか…目つきも怖く、こんな娘に成長して本当にローク達は良かったのか? という疑問が残ります。

また、ベン・アフレックがつまらない男に見えて仕方なかったのも問題でした。これは好みなので仕方ないのですが、この映画内で彼は魅力的だったでしょうか?

結局、彼自身の筋書きに沿って進行した話であり、自分の意志で運命を切り開き、リードしていく話ではなかったのが物足りなさだったのだと思います。

全体的には一時間半のコンパクトな構成が良かったものの、それでも眠気を感じたりして、楽しめなかったのが残念でした。