
どうして話を互い違いにしちゃうのでしょうか…という作品。
一度見ただけではピンとこなかったので、工夫しました。
目次
ロサンゼルスで保険調査員として働くレナードは、自宅に侵入してきた男に妻を殺され、自らも頭部を損傷して記憶障害を負ってしまう。それ以来、新しい記憶を約10分しか覚えていられなくなった彼は、ポラロイド写真を撮ってメモを書き入れ、重要な情報を身体のあちこちにタトゥーで刻んで記憶を繋ぎ止めながら、妻を殺した犯人を追うが……。
2000年製作/113分/アメリカ
『映画.com』より引用
原題:Memento
配給:アミューズピクチャーズ
劇場公開日:2001年11月3日
カラー1・モノクロ1・カラー2・モノクロ2・カラー3・モノクロ3…と構成されている映画を、
正しい時系列にするにはモノクロ3・モノクロ2・モノクロ1・カラー3・カラー2・カラー1と見ていけばいいのです。
例のごとく、初見で少しイラッとした短気な私は、正しい順番で見直しました。
すると、ものすごくよく分かって、しかも面白かったです。
しかしこの映画の狙いは、主人公レナードが「10分前のことが分からない」のと同じ条件で観客も見ている、ということです。
それで分かったのは、レナードのストレスが強烈なものだということ。
何がどうなってここにいるのかも、出会った人物が初対面か知人かもわからないのです。
何かが分かった時点でポラロイド写真を撮り、メモを取り、重要なことは入れ墨までするのですが、その情報が正しいかどうか分からないのも話を難しくしています。
他者から騙されて、間違った情報を書いてしまったり、自分で自分を騙すために嘘を書いたり、結局、信憑性などないものを頼りに動いているレナードが、哀れに思えてきました。
そして、レナードの周囲の人物は、彼の記憶が長く持たないのをいいことに、彼を利用しまくります。
善人などひとりもいない、殺伐とした世界であり、レナード自身もためらいなく人を殺すような人物なのです。
妻の復讐のためと言いながら、妻を殺したのは(結果的に)自分だし、もう復讐の殺人は一年前に終わっているのに、覚えていないから再びジョン・Gを探すし、もう滅茶苦茶です。
そもそも、記憶障害を抱えているのに、復讐なんて無理ではないかと思うのですが…。
結局、彼の暴走から何人もの人が殺され、一番得をしたのは厄介払いができたナタリーです。頭が良かったですね。
最後にネタバレがあり、それが物語の折り返し地点。そこから遡って、冒頭のテッド殺害が時間的に最も新しいわけですが、レナードの記憶がないため常に新しい出来事として各パートが提示されます。
非常にトリッキーで面白いつくり、と言えますが、私にはやはり分かりにくい部分が多く、時系列に並べてほしかったなと思いました。
ノーランはそんなことを絶対にやるつもりなかったでしょうね。
今、監督デビュー作の『フォロウィング』が公開中なので、懲りずに観に行ってみます。
よくわからないと言いながら観てしまう、クリストファー・ノーラン作品です。