『ゴジラ-1.0』感想文・細かいところは目をつぶり、とても楽しめました

映画は見る人によってこんなに感想が違うのかと驚いた作品です。賛否両論すごいですね。

これだけ話題になるとは、さすがのコンテンツです。製作のプレッシャーはいかばかりかと思います。

大きい声では言えませんが、私はこれまでゴジラ作品をひとつも観たことがありませんでした。

ウルトラマンに出てきた怪獣だと思っていたくらいで、海から出てくるのも、水爆由来なのも、そうだったっけ?という感じ。

でもなぜか今回「観てみようかな?」という気になりました。

『シン・ゴジラ』は観に行こうと全く思わなかったので、興味のない者を見る気にさせただけでも『ゴジラ-1.0』はすごいのではないでしょうか。

私のような一般大衆にアプローチしなければ前作を超えるヒットにはなりません。その辺りをよく考えて作られたんだろうなと感じました。

私の場合は、人間ドラマが描かれているという噂と、主人公が朝ドラ『らんまん』のお二人、神木隆之介さんと浜辺美波さんで、親しみやすかったことが興味に繋がりました。

初代ゴジラからのファンや映画をよく観ている方は、いろいろと思うところがあるでしょうが、初見の人や過去作を知らない子どもも鑑賞することを考えると、分かりやすくてよくできた作品だったのではないでしょうか。

激しく出血したり、身体がバラバラになるような描写はないので、その辺りもすごく気を遣っているようでした。

おそらくシン・ゴジラの興行収入を抜きたいという意図は絶対にあるので、広く大衆に受け入れられやすい作りにしていくのも当然です。

冬休みまで上映して、お正月映画として子どもたちも見るでしょうから、今後の集客も期待できそうです。『シン・ゴジラ』が82.5億なので、100億行くのではないかな…と楽しみです。

さて私は、ゴジラの造形や戦艦、戦闘機について全く語れませんのでノーコメントとし、物語について感じたことを書きます。

特攻隊員としての任務を果たせなかった敷島(神木隆之介)の苦悩から始まり、ゴジラとの戦いを経て死生観が変化していく様子は感動的でした。

画で見てわかることを台詞で説明する野暮なところは確かにありますが、理解し易いように、あえてそうしているのです。子どもが見てもわかるようにするというのは大切なこと。それで良かったと私は思います。

戦後のリアリティがないとか、敷島と典子の関係が不思議であるとか、指摘する方もいますが、生々しさを避ける策を取ったのだろうと察し、それほど気にはなりませんでした。

リアルにすると、戦後というだけで相当苦しい映像になります。戦後の復興をゴジラが襲撃するのですから、どれだけ悲惨な状態になるか…正直、あまり見たくない気持ちがありましたから、ほっとしました。

また、吉岡秀隆と佐々木蔵之介があまり好きではないのですが、あのフニャフニャしたり大げさだったりする演技が、この映画には必要だったと思いますし、様々な面で一応の許容ができるのが自分でも不思議でした。

ゴジラでなかったら、いろいろ言っていたような気がします。

そもそも山崎貴監督の映画も苦手だったほどなので、あまり期待ぜすに見に行ってみて、すごく得をした気分になりました。

最後に、キャストの中で最も強そうだと思ったのは安藤サクラでした(笑)

ゴジラと対等に戦えるのは彼女しかいないのではと思いました。今回、隣のおばさん(子守)役でもったいなかったです。神木くんの役がそのまま安藤サクラだったら…と妄想しました。

家族が行くならもう一回ぐらい一緒に見に行ってもいいかな、というくらい、面白かったので、迷っている方にはおすすめです。