『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』映画感想文・最後どうなったのかよくわからなかった(正直)

話題になっていたため鑑賞しました。

昭和の描かれ方が変に美化されておらず、好感が持てます。ゴジラ−1.0(綺麗過ぎ)で不足に感じていたものが埋め合わされたように感じました。

たいへん面白かったのですが、終盤どうなったのか分かりにくく、味わいきれない部分がありました。

監督・キャスト

監督

古賀豪

キャスト

関俊彦(鬼太郎の父)

木内秀信(水木)

種崎敦美(龍賀沙代)

小林由美子(長田時弥)

2023年製作/104分/PG12/日本
配給:東映
劇場公開日:2023年11月17日

あらすじ

昭和31年。鬼太郎の父であるかつての目玉おやじは、行方不明の妻を捜して哭倉村へやって来る。その村は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配していた。血液銀行に勤める水木は、一族の当主の死の弔いを建前に密命を背負って村を訪れ、鬼太郎の父と出会う。当主の後継をめぐって醜い争いが繰り広げられる中、村の神社で一族の者が惨殺される事件が発生。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。

映画.comより引用

ネタバレあり感想

前半はミステリー寄りの展開で、金田一耕助シリーズのような、資産家一族ドロドロお家騒動の様相を呈しています。

序盤数分で「ああ、明らかに子ども向けではないな」と実感。

しかしながら、ただの遺産争いのような話ではなく、そこには龍賀家一族にまつわる醜悪な慣習や、血液製剤「M」の製造方法をめぐる恐ろしい秘密があり、ひじょうに陰惨で気の滅入る設定となっています。

それに加えて…

・水木とゲゲ郎の交流から友情の芽生え、バディ感

・ゲゲ郎の行方不明となった妻へ深い愛情

・沙代の苦悩と秘めたる謎

・幽霊族の興亡

・水木が人としての心を取り戻す行程

などなど、少し内容を詰めすぎた印象もありました。

絶賛されている方が多くて本当に恐縮なのですが、ここまでで挙げた問題の数々、全てがどう収まったのかが自分の中でまとめきれません。理解力が乏しく本当に悲しいです。

皆さま、この話を一発で理解できたのでしょうか…私はお恥ずかしい話、特に最後、どうなったのかがよくわかりませんでした。

ゲゲ郎が目玉おやじになって、鬼太郎が生まれて、水木は記憶喪失で生存、あとは全員死亡でいいのでしょうか…。

水木は亡くなったのだとどこかの場面で確信したのに、どうやら生きているらしく、そこから急にわけがわからなくなってしまいました。

「墓場鬼太郎」一話や、6期鬼太郎を観ている人には分かりやすいのかもしれませんが、少し折りたたみ方が早くて私のようなおばさんにはついていけなかったのでしょうね。

まぁ、それはそれとして、良かったところを書きます。

水木は壮絶な戦争体験から人として大切なものを失い、社会でのし上がることを目的として村を訪れました。

そこでゲゲ郎が殺されそうになるところを救うのですが、まさにこの時に、自分の中の人間の良心のようなものが思い起こされたのではないでしょうか。

ゲゲ郎と交流を持つ過程で徐々に変わっていったようにも見えますが、私には一瞬の発露のように見えました。

おそらく、水木の戦争体験が彼の身体を突き動かしたのでしょう。

アニメーションで理屈ではなくそれを感じさせるのはとても高度なことです。心に残るシーンのひとつでした。

わたしは自分が割とオタク気質だと思っていたため、この映画がものすごく響いたというほどでもなかったのが残念でした。

面白いことは面白かった、それは間違いないです。ディープな世界観ですが、鬼太郎という一筋の光の尊さを感じた作品でした。

理解が追いつかなかっただけのような気もしますので、もし配信になったらぜひ再見したいです。