『リトル・エッラ』映画感想文・「何食べ」にヤキモチ姪っ子がプラスされたような話

思った通りの話でしたが「ま! いっか!」と思わせる可愛らしさがありました。

エッラはもちろん可愛く、ゲイカップルのおじさん達がわちゃわちゃしてさらに可愛いという、多くの人に好まれる映画だと思います。

あらすじ

人と仲良くするのが苦手なエッラが唯一心を許すことができるのは、大好きなおじさんトミーだけ。両親が休暇で出かける間、エッラはトミーと一緒に過ごすのを楽しみにしていた。

ところが、オランダからトミーの恋人スティーブがやって来たことで、夢の1週間は悪夢のような日々に一変。トミーとスティーブは英語で話すため、エッラは彼らが何を話しているのか全くわからず、のけ者にされたような気持ちになってしまう。

トミーを取り戻したいエッラは、転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を企てるが……。

2022年製作/81分/G/スウェーデン・ノルウェー合作
原題:Lill-Zlatan och morbror Raring
配給:カルチュアルライフ
劇場公開日:2024年4月5日

『映画.com』より引用

感想(ネタバレ含む)

大好きなおじさんトミーから「リトル・ズラタン」と呼ばれるエッラ、サッカーが大好きです。

(ズラタンとはスウェーデン出身の有名なサッカー選手、ズラタン・イブラヒモヴィッチのことで、2023年に現役を引退されています)

人と関わることが苦手で、おじさんしか友達がいないエッラ。サッカーが好きでも一緒にプレーする仲間がいません。

サッカー好きなら嫌でも人と関わらなければいけないと思うのですが、ヒネクレ具合を見ると、どうも親に問題がありそうです。

夫婦でバカンスに行くため娘を預けるのは百歩譲ってアリとしても、祖母の家の前に子どもを降ろして、よろしくの挨拶もせずにサッサと車で立ち去るってどういうことかと思いますね。

この親にしてこの子あり…を表現しているのかもしれません。

そして、エッラの物語ではありますが、最後まで親が不在であり、う〜ん…という感じはありました。

家族の話ではなく、他者との間で成長していく話なので、これは仕方ないのでしょうか。

エッラはトミーおじさんから恋人スティーブを遠ざけるために、次々といたずらを仕掛けるわけですが、全て裏目に。

逆に二人の愛情が深まる結果となり、イライラするばかり。

普通、険悪な雰囲気になりそうですが、何をされても一切怒らないスティーブの性格の良さと、陽気さに救われます。しかもかなりのイケメン。

しかし、エッラに嫌われていることが後半分かると、あっさり飛行機で帰ってしまいそうになり、拍子抜けしました。

あなたの愛はその程度のものだったのか〜と。

エッラはトミーの子どもでもありませんし、一時的に預かっているだけで、別に好かれなくても構わないのです。

ずっとイチャイチャしていたのに、エッラに嫉妬されるからトミーと別れるなんて、簡単すぎないでしょうか。

少し、ゲイの恋人同士の愛情が薄く感じられたので、もう少しお話を練ってほしいと思いました。

そこからは私の貧弱な想像力をもってしても、思った通り過ぎる展開で、トミーとスティーブは結婚する流れに。

エッラも人と関われるようになり、最後に大人も子どもも一緒になってサッカーをする場面は、ほのぼのとして良かったように思います。

少女の夏休みの成長を描いた映画は『コット、はじまりの夏』が記憶に新しいのですが、あれほど深いものはなく、ライトで楽しい映画に仕上がっていました。

祖母宅の三つ子のおじさんがマリオカートで遊んでいたのが、後半の空港へのドライブテクニックに生かされていたのが面白かったです。

意外なところは何もありませんでしたが、気楽に楽しく見られる映画で、悪くはなかったかな、と思いました。

とにかくエッラちゃんと、ゲイカップル、三つ子のおじさんなど、登場人物のキャラクター造形に救われた映画でした。