『ザ・バイクライダーズ』映画感想文・60年代の雰囲気をたっぷり味わいました

バイクのことはよく分からないのですが、1960年代のモーターズ・クラブ文化については興味がありました。

もう少し詳しく知りたいなと思い、夫を伴って鑑賞。いつもはあまり一緒に来てくれないのですが『怒りのデス・ロード』のトム・ハーディが出ているから見る気になったようです。

トム・ハーディといえば今は「ヴェノムの」みたいですね。

ちょっとジェームス・ディーンを彷彿とさせますね

あらすじ


1965年、シカゴ。不良とは無縁の日々を送っていたキャシーは、ケンカ早くて無口なバイク乗りベニーと出会って5週間で結婚を決める。ベニーは地元の荒くれ者たちを束ねるジョニーの側近でありながら群れることを嫌い、狂気的な一面を持っていた。やがてジョニーの一味は「ヴァンダルズ」というモーターサイクルクラブに発展し、各地に支部ができるほど急速に拡大していく。その結果、クラブ内の治安は悪化し、敵対クラブとの抗争も勃発。暴力とバイクに明け暮れるベニーの危うさにキャシーが不安を覚えるなか、ヴァンダルズで最悪の事態が起こる。

2023年製作/116分/G/アメリカ
原題または英題:The Bikeriders
配給:パルコ
劇場公開日:2024年11月29日

(『映画.com』より引用)

感想(ネタバレ含む)

まず、オースティン・バトラーが想像以上にカッコ良かったということ。

ワンハリの犬に襲われる役とエルヴィスしか記憶にありませんが、こんなにいいと思わなかったので私の目は節穴かと反省しました。

これはキャシーならずとも魅了されますね。

出会った日から一晩中外で待っているとか、かなりおかしい人ではありますが、カッコいいってなんだかんだ言って許容されるんだなと感じた次第です。

トム・ハーディ演じるヴァンダルズのリーダー、ジョニーはかなり重要な役。

荒くれ者の集団をまとめ上げ、精神的な柱としてリーダーシップを発揮していたものの、グループの巨大化、暴走する若者など、時の流れとともに彼の時代が終わりが近づいてくる予兆にドキドキします。

彼らなりに規範というものがあり、ルールとして守られていたものが、そんなものはお構いなしの卑怯で凶悪な若者に取って代わる。その幕切れがあまりにもあっけなく、容赦ないのです。

時の移り変わりは残酷です。何かジョニー自身もそれを感じ取っていたようですね。

キャシーは普通の生活から、バイカーの妻、そしてインタビューに答える形で歳月を経ながら変化していく姿が見事でした。

なんでも、英語のなまりまで表現されていたそうです。

確かに、最初は初々しく、ベニーの妻になってからは肝の座った女性、そしてベニーがバイクから足を洗ってからは落ち着いた話し方、と変化させていました。

全体を通して、やはり女性って強いなと感じずにはいられませんでした。

ジョニーとベニー、キャシーの3人はいわば三角関係にあるように見えました。

ジョニーを失い、ベニーがキャシーの元に戻り、ひとつの決着がついたわけですが、ラストの含みのあるベニーの表情を見て、どうなっていくのかな?と想像が広がりました。

バイクをやめて仕事に就いたベニーの耳に、バイクのエンジン音が聞こえた時の表情が印象的。

妻の思いとは裏腹に、彼は再びバイクに乗るつもりなのかもしれない。そんな風にも見える、余韻のあるラストでした。

私はバイクに詳しくありませんが、60年代の雰囲気たっぷりで、本当にカッコいい映画でした。