【U-NEXT】『ソウルの春』(2024)映画感想文・見ごたえのある韓国現代史

軍事クーデターものは理解しにくいという意味で苦手なジャンルなのですが、Xにおいて2024年のベスト10に入れている方が多くいらっしゃったので、配信で鑑賞しました。

1979年といえば46年前ということになりまくすが、韓国現代史においてこのような血なまぐさい事件があったのかと驚きました。

ハゲメイクたいへんだったみたいです(笑)

あらすじ


1979年10月26日、独裁者と言われた韓国大統領が側近に暗殺され、国中に衝撃が走った。民主化を期待する国民の声が高まるなか、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙い、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校たちを率いて同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンは、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況に置かれながらも、軍人としての信念に基づいてチョン・ドゥグァンの暴走を阻止するべく立ち上がる。

2023年製作/142分/G/韓国
原題または英題:12.12: The Day
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年8月23日

(『映画.com』より引用)

感想(ネタバレ含む)

初めの15分くらいでおおよその話は分かったのですが、とにかく名前と役職が頭に入ってきにくくて苦心しました。

しかも軍服の男性ばかりで、区別がつきにくく、細かいところまでしっかり把握できなかったのが残念でした。これは完全に私の問題です。

配信なので少し戻って確認できましたが、映画館で見ていたらどれくらい理解できていたか怪しいです。

全斗煥が大統領であったという事実があるため、チョン・ドゥグァンとイ・テシンの対決はチョン・ドゥグァンに軍配が上がるのだろうと分かっていました。

しかし、この映画においてクーデターを決行したチョン・ドゥグァンがあまりにも悪人らしく、見た目から思考から一点の良さもなく描かれているため、本当にこのまま彼の思い通りになって終わるのか?と不安になりました。

ちょっと人を丸め込むタイプの狡猾な部分があったりして、それがまた腹立たしく、こんな人間に最高権力を持たせることになるのかと思うと、他国ながら暗澹たる気持ちになりました。

権力を握ることにしか興味のない男がクーデターを起こし、大統領に就任してしまうという、近年のいわば黒歴史を、このようにエンターテイメントに昇華させているところは、さすが韓国映画だと思います。

最も印象的だったのは、イ・テシンの敗北よりも、トイレでのチョン・ドゥグァンの高笑いです。

いい演技と言えばいい演技なのですが「これで終わるの最悪だな…」と気が滅入りました。

このようなクーデターが国民の寝ている一夜のうちに行われていたことや、撃ち合いなどもあり暴力的だったことが脚色かと思ったら、以外にも実際にそうだったらしく、恐ろしさを感じました。

国民の全くあずかり知らぬところで、出世欲にまみれた争いが行われ、独裁者の暗殺からまた独裁者が上に立つ。

国はどこであれ、こんなことが二度と行われないようにしてもらいたいものだと思いました。

好きかどうかを聞かれると決して好きな映画ではありませんが、歴史の勉強になったので見てよかったです。

皆さん、こういう硬派な作品を好まれるのだなぁとXの「#2024年ベスト映画10」を眺めながら感心した次第です。