一見キラキラ青春映画のようなキービジュアルだったので、見逃しそうになったのですが、よく見ると岡田将生さん、清原果耶さんじゃないの! 脚本・宮藤官九郎さんじゃないの!
これは面白そうだと思い、初日鑑賞しました。
まず、役者さんが皆さん個性的でとてもいい。
岡田将生さん(悪い人じゃないんだけど、ちょっと腹が立つ、面倒くさい感じ。そして何も知らない男の哀れさがたっぷり)
清原果耶さん(内気で普段は言いたいことも言えない、けれど土壇場で怖いほどの落ち着き、行動力、執念深さ?を発揮する女の子」
準主役級の荒川良々さん(なんでも受け入れる)
羽野晶紀さん(いかにもな感じの関西のお母さん)
笑福亭笑瓶さん(遺作だそうです。たくさんお声が聞けて嬉しかった)
柊木陽太くん(「怪物」主演のひとり。この映画でもすごい可愛くて京都弁上手、と思ったら京都出身だった)
などなど、配役も素晴らしく、楽しかったです。
岡田さんパートと清原さんパートがあり、「怪物」みたいな、視点を変えた羅生門スタイルのようです。
岡田さんパートでチラチラと清原さんが映り込むので、どう展開するのかワクワクしました。
そして、さすがクドカンさん、余すところなく伏線は綺麗に回収され、最後にはまるで全部風呂敷に包んで「ハイ!」と渡されたような、非常に収まりのいい、気持ちのいいラストになりました。
しいて言えば、懇切丁寧過ぎて、行間や含みがそれほどないところでしょうか。
私の好きな場面は、ワンテンポ遅く、タイミングを逃し続けたレイカが「あること」をきっかけに生き生きと、思うがままに動き始める瞬間です。
それまで、ただ面白く見ていましたが、レイカが秘めた思いを次々と具現化していく様子を見て、感動してうるっときました。
もちろん笑えるシーンも満載です。
たとえば「京都弁でのアドリブが難しかった」と王様のブランチで岡田将生さんがおっしゃっていました。
もらったお弁当を食べるシーンがそうだったようで、嬉しさのあまり調子に乗り、腹の立つ感じになってしまうところなど、さすが岡田将生さん、という演技です。
想像していたよりずっと楽しい映画でした。嫌な気持ちになりようがないというか、安心感が半端ないというか、とにかくエンターテインメント性に長けている映画でした。
まぁクドカンさんなので当然といえば当然なのですが、組み立てがすごい、よくできていて完璧…と感心しきりでした。お見事です! めっちゃおすすめ!