上には上のワルがいる〜! ということで、娯楽映画として楽しんできました。
岡田准一のどうしようもなさ、綾野剛の怪演、磯村勇斗のチンピラ感…熱のこもった演技を戦わせる皆さんが素晴らしいです。
欲にかられた人間たちの末路はいかに…。
概要
藤井道人監督は「余命10年」がヒットしたことで知られています。最近は「ヴィレッジ」が公開中で、これもかなり凄まじい話でしたが、こちらはまたテイストの違った狂気を感じました。
この映画そのものも、元は大ヒット韓国映画。各国でリメイクがされています。私はどれも見ていないので、ネタバレなし、比較なしという立場で鑑賞しました。
予告では工藤(岡田准一)が焦りまくるシーンばかり流れていましたが、本編では矢崎(綾野剛)がヤバい人間として強烈な印象を放っています。
感想
工藤(岡田)という男は、何がおきても誤魔化し続けるどうしようもない刑事です。轢いた遺体を積んで逃げるなど、ありえない愚かさなのですが、これを愛すべきダメ人間と捉えて共感できるかどうかが、見る側に問われます。
私はどうかというと…ちょっとこの人ダメ過ぎないか!?!?という見方が前半で出来上がってしまいました。どちらかというと、いつもプリプリ怒っている妻(広末涼子)に共感した次第。
「もうやだこの人!」&「本当になにやってんの!」とイメージ最悪です。
この状態から時が戻り、次は矢崎(綾野)目線で進行します。
私は半ば工藤を心の中で見捨てており、名誉回復も望めない一方で、矢崎も相当な危険人物。共感のしどころを完全に失いました(笑)
ネタバレするとこれから見る方が面白くないので、あまり言えませんが、綾野剛がホラー映画のごとく、怖いです。凄くしぶとくて…つい、御本人の芸能生活と重ね合わせて見てしまいました。
暴露系ユーチューバーとの件は黙殺するつもりなのかな、とつい余計なことも頭をよぎります。
そして磯村勇斗は冒頭で轢かれる役にも関わらず、逃げっぷりやチンピラっぷり等、すごくいいです。役の解釈がすごくいい! 何を演じてもすごくそれらしい! といつも感心します。
工藤がろくでもないため、できれば最後に広末涼子から(前フリもあることですし)「帰ってくるんじゃねーよ、ばーか!!」と言われてコメディとして終わって欲しい気もしました。
いっそそれほど救いがなければ、評価が爆上がりなのですが、ちょっといい話に収まり、広末涼子にも私はなりきれませんでした。何がきっかけで夫を許したのか、もう少しわかりやすいと良かったですね。幼い娘を命の危険にさらしてしまったのは、ちょっと許しがたいなと感じます。
結局、だれにも共感はできませんでしたが、それほどめちゃくちゃな人たちばかりで面白かったです。元の韓国版も気になるので見てみようと思います。