『唄う6人の女』映画感想文・何なのか分からない不思議な映画でした

この6人の女は山の精霊で、自分達の山を守るために二人の男を捕らえたのでは…まさかとは思いましたが、その通りでした。

設定は良いので、もっと意外な方向へ転がって行ってほしかった、というのが正直な気持ちです。

物語的な驚きはありませんでしたが、キャストの熱演とビジュアルで飽きずに最後まで見られました。

山田孝之のクズっぷりがものすごく、ちょっと嫌いになりました。

こういう役が似合いますよね、ちなみに私は勇者ヨシヒコの山田孝之が好きです。

あらすじ

父親が亡くなり、山を売るために生家に戻った萱島(竹野内豊)と、その土地を買いに来た宇和島 (山田孝之) 。

契約の手続きを終え、山道を車で帰る二人は事故に遭い気を失う。

目を覚ますと、男たちは体を縄で縛られ身動きができない。

彼らの前に現われたのは、この森に暮らす美しい六人の女たちだった。

何を聞いても一切答えない彼女たちは、彼らの前で奇妙な振る舞いを続ける。

異様な地に迷い込んでしまった男たちは、この場所からの脱走を図る。

ネタバレあり感想

この映画の見所は、女たちの奇怪さを含む、キャストの熱演でしょう。

物語としてはほぼ予想通りで、意外だったのは萱島と宇和島が捕らわれた者同士協力するのではなく、敵対関係だったということです。

泥まみれの取っ組み合いなど、身体を張った演技バトルだけに、物語の甘さがちょっぴり気になりました。

汚染廃棄物の処理場を作りたくないという父親の遺志がありますが、「ウチの山に作るな=ヨソの山に作れ」ということではないでしょうか。

それならそれで個人の考えとしてアリなのですが、その割に生物の進化だとか、スケールの大きいことも語るため、違和感がありました。

凶器となる干し草用の熊手が、ちょうど手の届くところにあり、こんな安っぽいホラーみたいな演出でいいのかな?と思いましたし、萱島(竹野内豊)があっさりやられてしまったのも、みすみす命を捨てるような行為の末で、疑問でした。

「ウチの山」よりも、父親となり生まれてくる自分の子どもを育てる方が大切です。恋人のかすみは妊娠したことをまず言わなくちゃいけないのに、なぜ言わなかったのか?

宇和島(山田孝之)が死んで土に還っていくシーンにしても、笑っていいのか悪いのか、微妙な気持ちにさせられました。

結局、B級ホラーにしたいのか、本格ミステリーにしたいのか、笑わせたいのか、何を目指しているのかがわからないまま終わってしまった印象です。

というわけで、ちょっと私には許容できない作品でした。はじめしゃちょーが絡んでいるのも、知っていたら見なかったな…という感じで、下調べもある程度必要だと勉強になりました。

割り切って、気楽に鑑賞するぶんにはいいですね。

キャストの皆さんの熱演が素晴らしい作品でした。その一点だけは断言できる映画です。