後になって気がつく、この映画の凄さ!
この映画はトーキング・ヘッズの1983年のライブを映画化したものです。
私は映画館で映画を観るお金も趣味もなかったのですが、若い頃は音楽好きだったので、この作品に限って見に行きました。
当時と感じ方が変わるのか変わらないのか、興味深々で今回鑑賞。
いやいや…凄いクオリティ! 十代の頃に戻ったような気持ちで、懐かしくもあり、とても楽しめました!
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当時はインターネットもまだなく、この映像作品がどれほどのものかはあまり知らずに「トーキング・ヘッズとかオシャレ〜」というノリで見ました。今より輪をかけてミーハーだったのです。
40年前とはいえ、とにかくオシャレで、デビッド・バーンが変わってたな〜という強い印象がありました。
実はこの作品、ジョナサン・デミ監督(後に「羊たちの沈黙」を監督)、ジョーダン・クローネンウェス撮影(「ブレードランナー」)。デビッド・バーン自身も名門音楽大学出身のインテリであり、一見エキセントリックでメチャクチャなパフォーマンスに見えて、非常に緻密な音楽作品なのでした。
知的すぎるバンドとして認識されていたトーキング・ヘッズが「意味づけをやめよ」と銘打った割には、隠しきれないインテリ感がありました。
奇怪な震えパフォーマンスや連続殺人鬼を想定した歌など「頭が良すぎておかしくなった人」という印象です。
それが当時はものすごくカッコ良く見えたものです。今見てももちろんカッコイイのですが「ちょっとこじらせた感じ」が可愛らしく見えるのは、私が歳を取ったせいでしょう。
ステージセットも出来上がっていないところへ、デビッド・バーンがラジカセを持ってフラリと登場し、ギターをかき鳴らしながら「Psycho Killer」を歌います。一曲目からサイコ・キラーですからね…キレキレです。
そこから一曲ごとに一人、二人とバンドメンバーが増えていき、ステージ設営も黒子が出てきてライブ中に進む構成。見ていて本当に楽しく、見事です。
また、ベースのティナ・ウェイマスがものすごく可愛くて最高です。当時は女性ベーシストって新鮮だったような気がします。
ドラムの陽気なお兄さんクリスと、夫婦でバンド内バンド「トム・トム・クラブ」をやっていたのもすっかり忘れていましたが、40年ぶりに思い出しました。
今回気づいたことは、頭の良さってどんなに装ってもにじみ出るものだなぁということです。当時の日本だと「ローザ・ルクセンブルグ」や「パール兄弟」みたいな感じでしょうか。
席の周りに人がいなかったので、ちょっと口ずさんだり、足でリズムを取ったりできて、本当に楽しいライブ映像でした。劇場鑑賞をぜひおすすめしたいと思います。