ギャスパー・ウリエルの面長二枚目顔が、歳を取ってアンソニー・ホプキンスになるかな? という基本的なところでつまづきました。
これはこれで面白いのですが、ハンニバルシリーズの作品とは思えないような〜ちょっと別物のような〜微妙な印象を受けます。
主役レクター役のギャスパー・ウリエルは、30代という若さで、スキー事故により亡くなられています。
良いシーン、良い演技を見るたびに、なんて惜しい…と胸が痛みました。
スキー事故なんてほんの一瞬のことじゃないですか。なんて命って儚いのでしょう。
そんな思いと今作の「復讐&猟奇殺人」のギャップに、命って何だろうかと戸惑いながら鑑賞しました。
↑原作者が脚本を書いたそうです
目次
天才シリアルキラー、ハンニバル・レクター誕生の秘密に迫るシリーズ第4弾。
ハンニバルはリトアニアの名門貴族レクター家の子息として生まれた。1944年、戦火を逃れた山小屋で両親を失い、幼い妹ミーシャと二人きりとなる。
戦争孤児として二人で暮らす山小屋に脱走兵たちが立てこもり、食料が尽きた時に事件が起こる。
2007年製作/121分/R15+/アメリカ・フランス・イギリス合作
原題:Hannibal Rising
配給:東宝東和
劇場公開日:2007年4月21日
連続殺人鬼であるレクター博士の誕生は、幼少の頃の出来事に原因があった、ということです。
一応、復讐という殺人の理由があるため、サイコパス味が薄れてしまっているのがどうなのか? と感じました。
復讐するうちに、自らの猟奇的な部分に目覚めていったということかなと都合よく解釈しました。
私の大好きな『さらばわが愛 覇王別姫』にも出ていたコン・リーが日本人の叔母役であり、レクターに剣術を指南します。
ちょっと違和感のある日本文化に描かれ…というのはよくあることで、ヨロイカブトが飾ってあったり、剣の構えが素人目に見てもちょっと違って見えたりしました。
多分さらし首を描くために、日本的な設定を出してきたのかなと思います。日本の切腹のような殺害もありました。
(関係ありませんが、昔の武士って精神性を強要されていたのかしら…何かあったら切腹とか怖すぎるのですが。)
妹を殺され、食糧事情から食べられたことへの復讐として、ハンニバルはターゲットを普通に殺すだけでは飽き足らず、残酷なバリエーション展開で殺害していきます。
それがなかなか独創的で面白いですし、猟奇的なものに目覚めていく過程もグッドです。
ただ、最後まで何故かハンニバル・レクターの人物像と重なりませんでした。
なんていうか、もっと理解を超えたサイコパスを私は望んでいたのかも(笑)
今作のハンニバルはおもに妹の復讐という前提があって殺人を重ねていたので、動機があるわけです。
動機のないことが最も怖いと私は考えているので、今作のレクターが割とまともに見えてしまったのかもしれません。
そんなわけで、あまりハンニバルシリーズと考えず、別の作品として鑑賞した方が楽しめるかな?という作品でした。
TVシリーズに手を出すか否か、考え中です。