雨が続いて気分も湿りがちなため、ウェス・アンダーソンの映画を観たくなりました。
独特の世界観と色調で、本当に可愛いです。
俳優陣もとても豪華、ストーリーも面白くて最高。
…だけど悔しいことに眠くなる!
そのような方も多いのです(笑)
目次
ヨーロッパ随一の高級ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を取り仕切り、伝説のコンシェルジュと呼ばれるグスタヴ・Hは、究極のおもてなしを信条とし、宿泊客のマダムたちの夜のお相手もこなしていた。
ホテルには彼を目当てに多くの客が訪れるが、ある夜、長年懇意にしていたマダムDが何者かに殺害されてしまう。
マダムDの遺産をめぐる騒動に巻き込まれたグスタヴ・Hは、ホテルの威信を守るため、信頼するベルボーイのゼロ・ムスタファを伴い、ヨーロッパを駆けめぐる。
2014年製作/100分/G/アメリカ
『映画.com』より引用
原題:The Grand Budapest Hotel
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2014年6月6日
表情や抑揚は、その人がどう考えているかの判断基準になります。
ウェス・アンダーソン作品の登場人物はあえて感情を読み取りにくくしてあります。
しかも絵や言葉の情報量が多く、入れ子構造になっていることもあり、はっきり言って分かりにくい。
こちらは一生懸命ついていかなくてはなりません。
その挙げ句に置いていかれて眠くなるのではないでしょうか。
今回は「1932年の話」を「1968年に当時のロビーボーイから作家が聞き」「それを1985年に作家が本にして」「現代の人がその本を読んでいる」という構造です。
私の好きなところは、緻密で可愛いビジュアルの中に、下品だったりバカバカしいものをほどよく差し込んでくるところです。
この作品で一番笑ったのは、スキーとソリで追いかけっこをする場面で、それが異常な速さ(笑)
くだらない…と思いながらも、すごく笑いました。そういうところが好きです。
登場人物たちも、とても素敵です。主人公の伝説のコンシェルジュ、グスタヴは最高のおもてなしとして、マダムたちの夜のお相手までするという徹底ぶりで大忙し(笑)
見栄っ張りで気取っている割には小心者であり、不思議と憎めないチャーミングさがあります。
もう一人の主役、ロビーボーイのゼロもまた、自分の役割に忠実すぎる真面目な青年であり、二人の掛け合いがとても楽しいのもこの映画の魅力。
マトリョーシカのようになっていることで、ハッピーなラスト、その後訪れる不幸、それがまた思い出となり、人に伝わり本になり…と時の流れが感じられる構造になっていて、物語に深みが生まれています。
面白く観て、最後に少ししんみりする感じですね。
ウェス・アンダーソン…そこはかとなく感じる面倒くささと美術へのこだわり、淡々と進む物語の中に、キラッと光るくだらなさとエモさ。
途中で寝たとしても、どうしても嫌いにはなれません。
多くの有名俳優が名を連ねているのも、彼の作る世界の中に入ってみたいと思わせる魅力があるからでしょうね。
まだ観ていない作品がかなりあるので、次回から対策を講じたいと思っています。
・吹き替え、日本語字幕つきで見る
・ネタバレ覚悟で、あらかじめストーリーを知っておく
・入れ子構造は特に確認しておく
・よく寝ておく
これで初見でもなんとかなりそう、かな〜。