
たいへん話題になった映画であり、オスカー7冠ですが、日本では公開が数か月遅れました。
私は映画館で予告を見るたびに「もしオッペンハイマーが英雄視されていたら不快だろうな…」と、描かれ方が怖くてゾワゾワしていました。
楽しい映画だとは思っていなかったので少し足が重かったです。
その割には初日に行ったのですが(笑)「どうせなら早く観てしまおう」という気持ちからでした。
そして、よく分からなかったので3日後に2回目を観ました。
時間が経つと、感じ方がかなり変わったので、そのことを書きます。
目次
第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。
2023年製作/180分/R15+/アメリカ
『映画.com』より引用
原題:Oppenheimer
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年3月29日
1回目鑑賞、モヤモヤして疲労感も多かった
噂には聞いていましたが、構成が難しいのと、説明されない登場人物の多さに参りました。
「テネット」よりは分かりやすかったものの、クリストファー・ノーランは何故わざわざ込み入ったことをするのか、本当に謎です。
映画内世界が複雑なせいで、例えば「成功に喜ぶアメリカ人」など、日本人であれば気になる姿が、単純に悪目立ちしている気がしました。
また、原爆投下後の幻視に厳しさを欠いていましたし、現実のスライドに対して目を伏せるオッペンハイマーの姿には「ちゃんと見ろよ!」という気持ちにもなりました。
映画としての凄さはもちろん感じましたが、感情的に受け入れ難い部分もあり、複雑でした。
2回目鑑賞、誠実な作りと感じる
モヤモヤとした感じがなかなか解消せず、試しにもう1回観てみようと思い、下調べをしてから2回目を鑑賞しました。
「何が描かれているか」をクリアしていたので「どう描かれているか」に注目。
多くの科学者が様々な考え方をしていることが分かり、原爆、水爆それぞれの推進派と否定派が自分の中で明確になりました。
それらをひっくるめて、映画として広島・長崎への投下が「悪」であったという一貫したトーンが感じられました。
よく見ると、クリストファー・ノーランは「彼なりに」真面目に誠意を尽くして製作したのだろうと感じられました。
表現の甘さはやはり目立ち、外国人の理解への限界も感じましたが、1回目よりもエンタメ作品として客観的に見られた気がします。
その後数日経って
「描きたいことを描き、描きたくないことは描かない」
つまりそういうことだったのだと思うようになり、腑に落ちないような感覚も次第に薄れてきました。
また、事実と違う点があったり、重要人物のノイマンも出てこないなど、少し疑問に思う点も出てきました。
ノーランという監督は、整合性に疑問符がつくことがこれまでにもあったため、やはり今回もか…と逆に安心した部分も。
そして「やっぱり映画なんだよね」という、納得とあきらめが半々の気持ちに落ち着いてきました。
オッペンハイマーの描かれ方がどこまで事実に近いのか、実際のところ分かりません。
監督の見方が色濃く反映されているのです。
これは「クリストファー・ノーランの二次創作」のような気がしてきました。
ですから、描かれ方によって必要以上に傷つくこともないし、何日も考え込む必要もないのかなと思いました。
まとめ
原爆を投下することで、どれだけ悲惨なことが起こるかという想像力が足りず、科学者としての欲求を優先した悲劇。
オッペンハイマー自身もそうですが、研究開発に携わった多くの科学者が、自らも被爆により若くしてガンで亡くなっています。
クリストファー・ノーランの作品には愚かな人物が度々登場して、共感が難しいことも多いのですが、今作もそうでした。
いつも共感ほぼゼロなところが、逆に面白いと感じます。
この映画の第一印象で複雑な気持ちを抱いた日本の方は多いと思います。
もう一度見てみると、感じ方が少し変わり、気持ちが楽になる可能性もあると思うのですが、いかがでしょうか。
それにしても、予習したり2回見ないと理解できないような映画って、そもそもどうなのでしょうかね!?
ノーランってちょっと苦手かも…と言いながらも気になるので、新作が発表されたらまた観に行くと思いますが。
それでは、また次の映画で!