『コーヒー&シガレッツ』映画感想文・人と気まずくても、噛み合わなくても、別にいいじゃん

ジム・ジャームッシュ監督作品がオシャレかというと私はあまりそう思わないのです。

逆に洒落ていないし野暮ったい感じもあります。

カッコ悪さや居心地の悪さも肯定される世界観、と言えばいいのでしょうか。

そんなところがすごく好きです。

あらすじ

さまざまな登場人物がコーヒーを飲み、タバコをくゆらしながら繰り広げる11のエピソードを、ジム・ジャームッシュ監督がつづったショートストーリー集。

2003年製作/97分/G/アメリカ
原題:Coffee and Cigarettes
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2005年4月2日

『映画.com』より引用

感想

昔レンタルで観ましたが、スクリーンで観たかったので映画館へ足を運びました。

コーヒーを飲みながらタバコをふかして話す、会話劇が全部で11エピソードもあります。

初見の頃は喫茶店でも普通にタバコが吸える時代だったので、なんの違和感もありませんでしたが、今見ると、時代は変わったなぁとしみじみしました。

公開当時に生まれた子どもがもう20歳です、私も年取るよね…ケイト・ブランシェットなんて同年代だけど、本当に若くて綺麗でした。

今も綺麗といえば綺麗ですが、年季が入って凄みが勝ってるというか…笑

大好きなんですよ、ケイト様。

他にも、トム・ウェイツとイギー・ポップの凸凹会話や、ロベルト・ベニーニやビル・マーレイのトボケまくりの演技なども楽しく、周りに人がいなかったので、リラックスして笑いしながら観ました。

昔は面白さがイマイチ分からなかったエピソードも、今見るとおかしさが分かるようになっていて、自分も少しは成長したのかな〜と嬉しくなりました。

たとえば「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」など、すっかり忘れていましたが、あんな男の子や女の子いるよね、とホッコリする、とてもキュートな話で好きになりました。

どのエピソードも後に残る人物が、ふと素の表情を見せるところがオチとして効いています。

そして、どの話にも教訓めいたものは全くないのですが、一様に感じることがありました。

それは「人と気まずくても、噛み合わなくても、別にいいじゃん」ということ。

誰かのご機嫌をとったり、なんだかんだ気を遣わなくても…いや、気を遣ってトンチンカンなことになっても、べつにそれでいいじゃないか…そんな気持ちになるのです。

ジム・ジャームッシュ作品には、いつもそのような世界が繰り広げられていて、どことなくピントのズレた会話に安心感がもらえます。

そこが好きなところなのかな、と今回気づきました。

映画の中ではコーヒーがどうもまずそうに見えて仕方ないのですが、泥水みたいなコーヒーでも飲みたくなるので、鑑賞前にご用意を忘れずに…。

配信ではU-NEXTにあるみたいなので、機会のある方はぜひご覧ください。

私はU-NEXT推しで、月額2189円と少し高い気もするのですが、うち1200円分が期限付きのポイントとして付与され、そこから映画館での鑑賞チケットも賄えるので、おすすめです。