『ジョン・レノン 失われた週末』映画感想文・思ったほど悪い時期ではなかったのかもしれませんね

かなりの情報量でメイ・パンの視点から、ジョンとヨーコの別居期間が語られます。

相当言いたいことがあったんだろうな…とお察ししました。

ビートルズは大好きですが、特にジョン・レノンのファンではないので、知らない話が多く面白かったです。

あらすじ

ビートルズのジョン・レノンと妻オノ・ヨーコが別居していた“失われた週末”と呼ばれるプライベートな日々の真相を追ったドキュメンタリー。

1973年秋から75年初頭にかけての18カ月間、ジョンはヨーコの強い希望により、夫妻の個人秘書でプロダクションアシスタントを務めていた中国系アメリカ人メイ・パンとともに過ごす日々を送った。この期間、ジョンはメイの助けを借りて最初の妻シンシアとの長男ジュリアンと再会することができ、アルバム「マインド・ゲームス」「心の壁、愛の橋」「ロックン・ロール」を立て続けに制作、デビッド・ボウイやエルトン・ジョンらとのコラボレーションや、ポール・マッカートニーとの再会など、“失われた週末”という呼び名とは裏腹に、ビートルズ解散以降のソロキャリアのなかで最も多作で商業的にも成功した時期を過ごした。

映画ではメイ本人の証言をはじめ、名曲の数々や貴重なアーカイブ映像、プライベートな写真、ジョンが贈ったユニークなイラストの数々を交えながら、メイの目で見た素顔のジョンを描き出す。

2022年製作/94分/アメリカ
原題:The Lost Weekend: A Love Story
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2024年5月10日

『映画.com』より引用

感想(ネタバレ含む)

オノ・ヨーコも90歳を超え、認知症と言われています。そこで今のタイミングで言いたいことを言ってやろうかという感じに見えなくもありません。

亡くなってからでは一方的な印象がありますからね。

メイ・パンの言いたかったことをまとめると…

・ヨーコからジョンと付き合うようにと言われたから付き合った

・すぐに別れると思っていたようだが、意外と続いてしまったし、深く愛し合っていた(との弁)

・それまでヨーコは息子ジュリアンからの電話をジョンに繋がなかった

・別居期間に、ジュリアンやポールとの再会があり良い時間が持てた

・創作活動の充実があった

この時期のジョンは酒浸りドラッグ漬けで荒れた生活をしていたと思っていました。

少しでも楽しく過ごせていたのなら、彼の人生の長さを考えると良かったよね…という感じです。

しかし、本当にそんないい話だったのか? という疑問も。

確かに、公開された映像ではリラックスして表情のやわらかいジョンの様子がうかがえますが、それが全てではないでしょう。

ジョン・レノンという人物は感情の起伏が激しく、神経質な面を持ち合わせていると聞きますし、メイ・パンへの暴力もあったようです。

彼はかなり複雑で繊細、生きづらさを抱えていたと思います。

複雑な家庭環境だったことが、彼の人格形成に大きな影を落としていることは間違いないですが、そのせいもあってオノ・ヨーコみたいな強烈な個性の女性に惹かれたように思えます。

意外だったのは、ヨーコって自信満々な人に見えて、ジョンに対する束縛や疑心暗鬼がすごくて、本当におっかない人だったということ。

こんな女、嫌だなぁ〜と率直に思いました。

『ルーフ・トップ・コンサート』でのヨーコは東洋の神秘みたいなミステリアスな佇まいで、妙に肝の座った目つきでジョンに寄り添っていました。

黙っているとちょっと可愛くて、ジョンが惹かれるのも少し納得できる気がしました。

しかしそれも、失われた週末の10年前ですから、その頃はまだ可愛かったのでしょう。

メイ・パンのドキュメンタリーではありましたが、ジョンとヨーコが強烈な夫婦であったというという印象が強く残りました。

そのメイ・パンにしてもかなりの強者で、20歳そこそこでいきなりアップル社へ乗り込み、職を手にして、その後はジョンとヨーコの秘書としてあらゆる仕事をやっていたのですから、たいした女性です。

なんかもうお腹いっぱいになる映画でした。

私は凡人で構わないなと強く感じました。