『またヴィンセントは襲われる』映画感想文・無の境地になる作品

目が合うだけで攻撃されるなんて、不条理にもほどがあります。

でもコロナ禍ってそんな感じだったと思うのです。

罹患すれば人々がゾンビのように襲ってくる、そんな異常な世界だった気がします。

あらすじ

ある日突然、職場のインターン生から暴行を受けたヴィンセント。怪我から回復する間もなく別の同僚にも襲われるが、加害者たちはいずれも襲撃時の記憶を失っていた。その後もヴィンセントに殺意を向けて襲いかかってくる者は後を絶たず、ついには見ず知らずの他人からも命を狙われるようになってしまう。やがて「自分と目線が合った瞬間に人々が襲いかかってくる」という法則に気づいたヴィンセントは、生き残るための自衛を始めるが……。

2023年製作/109分/G/フランス
原題:Vincent doit mourir
配給:ナカチカピクチャーズ
劇場公開日:2024年5月10日

『映画.com』より引用

感想(ネタバレ含む)

あまり皆さん言われていないのですが、コロナ禍で作られた作品だと思うので、当時の混乱がベースになっていると私は思うのです。

罹患した途端、関係のない人からも叩かれる。

専門のコミュニティや、人と会わずに生活するスキルが必要になる。

やがてその状態が終わるが、同行していた人物に伝染していた。

やがて街中が殴り合いを始めて、パンデミックのようになる。

いいのか悪いのか、もう多くの方がコロナ禍を忘れているのかもしれません。

ただ問題は「ヴィンセントが襲われては逃げる」ばっかりで、途中なりゆきで同行するようになった女性とのロマンスがちらっとある程度。

もう少し話を転がせなかったのかなとは思いましたが、まぁ根拠もないので、しょうがないですね。

本当にあまり語ることもなく、さらっと観て、別に何も感じないで終わったという感じです。

SNSで「またヴィンセント観てきた」と書いている人が多く「二度三度と観るくらい面白いのか!?」と期待したのですが、タイトルに「また」が含まれていただけという笑い話。

これを何度も観る人は…いないでしょうね。

あと、ひとつ変だと思ったのは、人と目が合っても襲ってくる場合と襲ってこない場合がありました。

100パーセント襲ってこないのはどうしてか、徹底していないのがちょっと嫌でしたね。

それに、こちらが相手の目を見なければいいのではないか?とも思います。

サングラスするなり、目を伏せて歩くなり、ちょっと工夫してほしかったですね。

ハリウッドでリメイクとの話になっていますので、これがどうなるのか、別の意味で楽しみ。

次はもうちょっとましな話にしていただきたいと強く希望します。