予告を見ると面白そうだったのですが、思ったほどピンと来ず。
かといって全然つまらないわけでもなく、なんとも不思議な鑑賞後感でした。
目次
1941年、ワルシャワのゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人のフィリップはナチスによる銃撃に遭い、恋人サラや家族を目の前で殺されてしまう。2年後、フィリップは自身をフランス人と偽ってドイツ・フランクフルトの高級ホテルのレストランでウェイターとして働きながら、ナチス将校の夫を戦場に送り出した孤独な妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。嘘で塗り固めた生活を送るなか、フィリップは知的な美しいドイツ人リザと出会い恋に落ちるが……。
2022年製作/124分/R15+/ポーランド
『映画.com』より引用
原題:Filip
配給:彩プロ
劇場公開日:2024年6月21日
周囲の愛する人達をドイツ軍に殺されて2年、ドイツ人女性を誘惑し、捨てていくという復讐を続けるフィリップですが、そこにそもそも若干の違和感がありました。
・言うほど次から次へと手にかけているわけでもない。
・お互いに楽しんでいるだけにも見え、復讐になっているのかどうか微妙。
・フィリップ本人がけっこう怖い雰囲気で、はたして女性にモテるのか疑問。
・ただの憂さ晴らし、女好き、遊びの延長に見える。
まぁそれを復讐ととらえましょう。一旦飲み込みます。
ミイラ取りがミイラになる、を体現し、リザと恋仲になったフィリップ。
はじめ頑なだったリザが急に軟化して恋人になり、え?いつのまに?何きっかけ?と思いましたが、リザ役の女優さん(カロリーネ・ハルティヒ)がとても美しくて、良かったです。
誰かに似ているとずっと思っていたのですが、今分かりました。ロシアのフィギュアスケーター、エフゲニア・メドベージェワと似ているような気がします。
二人で逃げようとした時に、親友の理不尽な死というものに対峙します。
フィリップの中で再び復讐心が燃え上がり、でもリザとはただ別れ、じゃあ次はどうするか! となった時に、陰から数人撃ち殺すに留まったのが、少し物足りなかったです。
失いかけていた復讐心が再燃して、リザを殺しても良かったかもしれないんですよね。
ダンス会場には立派なシャンデリアがあり、あれを落とすんだね!と期待したのですが、スルーしたのもちょっと期待外れでした。
何か全てがショボいというか、小物感がただよっています。
いちユダヤ人のささやかな抵抗、という感じでした。
ただ、ブランカとの別れのシーンは印象的で良かったです。
奔放なブランカとの遊びのような関係から、奇妙な友情が生まれ、彼女を励まして去っていくフィリップは、本来の性格を取り戻したように見えました。
「恋人がいるのね」というブランカは、実はフィリップのことを愛していたのかもしれません。
フィリップって、なんか雰囲気が怖いし、表情が固くて、一緒にいて楽しくもなさそうだし、そんなにジゴロ的魅力はなさそうな男性なので、少し不思議でした。
ラストはうまく逃げて生き延びたフィリップ。
だからこそ実体験を元にした小説が書かれたのでしょうが、もっとドラマチックにできたような、少し残念な気もする映画でした。
いろいろと考えてみて、全体的にスケールが小さい、というのが敗因だったのかもしれません。